高まる中国への依存度と内在するリスクの行方


6月25日、米レアアース生産会社のモリコープが米連邦破産法11条を申請した。日中対立を背景とした価格高騰と国際分散に対するニーズの高まりの中、同社は積極的な設備増強を行った。しかし、代替技術の開発もあって高値は長続きせず、中国が輸出枠と輸出税の撤廃に踏み切ると価格は急落、経営は行き詰まった。今やリサイクルや代替品の意味が失われるほど安値となった中国産レアアースへの依存度は再び高まる。

7月1日、国交省から路線価が発表された。オフィス需要の増加を背景に大都市圏の回復が加速、とりわけ、14%上昇した銀座を筆頭に「訪日客効果」が商業地の価格を押し上げた。また、6月の主要百貨店5社の売上高も3ヶ月連続の増収となったが、こちらも中国からの訪日観光客に牽引された「インバウンド消費」が大きく貢献した。

一方、その中国からも重要なニュースが伝えられた。
一つは景気減速懸念。6月29日、中国人民銀行は2014年11月以降4回目の金利引下を発表したが、2週間で2割の下落を続ける上海株式市場の下げは止められなかった。
そして、7月1日、「国家安全法」の成立。国家の安全を政権、主権、領土など国の核心的利益が維持されている状態であると規定し、領土、経済、食糧、ネット、海底資源から宇宙空間におよぶ広範な分野における規制強化の方針が明文化された。更に、同法は、主権と領土統一の維持を台湾に義務付けるとともに香港やマカオにも国家安全を守る義務があるとした。
また、同日、中国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字をとった通称BRICS銀行の設立協定を批准した。BRICS銀行はアジアインフラ投資銀行(AIIB)とともに中国が主導する新たな国際金融システムの根幹をなすものであり、7月7日にロシアで第1回の総会が開催される。

IMF、EUと対立するギリシャの国民投票はその2日前、7月5日だ。日本、そして、世界に対する中国の影響力とそれゆえのリスクは、中国による核心的利益の拡張とともに高まり続ける。ギリシャは既存金融シムテムの内にとどまるのか、それとも? 世界はここを注視する。

今週の”ひらめき”視点 06.26– 07.02

 

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