中国、資源、再び中国。
所謂「地政学的リスク」が拡散する状況にあって中国の影響力が増している。というより戦略的にその存在を誇示しているというべきか。ASEAN地域フォーラムに向けての政治的綱引きが始まると、直ちに日中首脳会談への動きを仄めかす。その一方でアウディ、メルセデスなど欧米高級車への独禁法適用を示唆、米アップル製品の政府機関での使用禁止を発令するなど、政治的にも経済的にも「中国当局」を無視し得ない施策を次ぎから次ぎへとくり出す。中国ビジネスに関わる一人としてまったく気が抜けない。
世界レベルで構造的な変革期にある資源ビジネスであるが、この4半期は短期的な変動リスクが目立った。4-6月期の大手商社の決算は、三井物産が資源価格の下落を理由に純利益ベースで4%減、三菱商事も同17%減、伊藤忠と丸紅は「非資源の好調さ」が業績を牽引し、前者が純利益で18%増、後者も8%増となった。
グローバル資源ビジネスにおいても中国の動きがキーとなる。ウクライナ問題に端を発したロシアと欧州の対立が一時的なものとして収束するか、再び冷戦型の対立構造として固定化するのか。本来、対立の長期化はロシアにとっても利はない。しかし、中国が買手としての影響力をどこまで拡大するか、その出方次第では、ロシアは危機を乗り越えるための新たな「構造的な変化」を指向する可能性もある。
今週の”ひらめき”視点 8.03 – 8.07