アジア新興国経済、減速懸念、強まる


事故、テロ、汚職、通貨安、、、アジアの成長条件が揺らいできた。最大の懸念材料は中国経済の失速がより鮮明になったこと。7月の中国貿易統計によると輸入は前年同月比▲8.1%、輸出も同▲8.3%となった。とりわけ、輸入は9ヶ月連続のマイナス、中国税関総署も「原材料、鋼材、自動車の減少幅が拡大」と内需の弱さを認めている。日本では株式市場への関心が高いが、むしろ、中国実体経済の構造的な減速がアジアおよび世界経済に与える影響を注視すべきだ。
7月の中国の貿易総額は輸出入合計で43兆円、前年比7.2%のマイナスであった。つまり、昨年に比べて3.3兆円規模の貿易額が単月で失われた、ということである。これを単純に1年換算すると39.6兆円、昨年度の日中間の貿易総額32.5兆円を上回る取引が喪失するということである。中国との貿易拡大に支えられてきた新興国にとって、影響は軽微ではない。

経済のもう一段の失速は、政情不安に直結する。その時、“危機”を押さえ込むために新たな規制、制約、抑圧が政治的に強制されるならば、更なる停滞と混乱は避けられまい。アジアは正念場だ。

今週の”ひらめき”視点 08.09– 08.13

 

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