TPP、大筋合意。しかし、発効に向けてのハードルは高い


10月5日、TPP参加12カ国間で大筋合意が成立した。経済効果についてはやや過大評価されている感は拭えないものの、「広大な太平洋には中米2大国を受け入れる十分な空間がある」などとし、アジアにおける権益拡大を急ぐ習金平指導部に対する地政学的な戦略的効果は大きい。
とは言え、国内には依然として強烈な反対と懸念が残る。ただ、大筋合意が成った以上、先が見えないことを理由とした無策が容認されることはもはや出来ない。
そもそも国内農家の35%は自給的農家であって市場からの影響は小さい。問題は残る65%の販売農家であるが、その2/3は65歳以上である。このままでは勝ち目はない。その通りである。しかし、次世代への事業承継が“過疎の再生産”を目指すものでない限り、勝機はある。自給的農家や高齢農業従事者に対する施策と長期的な農業政策を一体化すべきではない。

また、問題のISDS条項についても、申し立てを受けること、負けることだけが前提であるならば、確かに脅威以外の何者でもない。しかし、そもそも勝つことこそが国益ではないか。公正な規定づくり、公平な運用、国際紛争を勝ち抜く法律家の育成、紛争解決センターなど関連機関や国際社会における外交的プレゼンスの向上、こうした条件や外部環境を整備することが政治の仕事であり、責任である。

一方、難関は残る。米国ではヒラリー・クリントン前国務長官やハッチ米上院財政委員長といった有力者たちが次々と反意や不満を表明した。議会承認は容易ではあるまい。米国、日本、そして、他の参加各国の国内情勢を含め、依然として発効までの道のりは平坦ではない。

今週の”ひらめき”視点 10.04 – 10.08

 

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