2015年度補正予算、効果拡散?
麻生財務相は4日の財政演説で「今こそ少子高齢化という構造課題に取り組まなければならない」としたうえで、「1億総活躍社会の実現」に重点を置いた補正予算について理解を求めた。
予算総額は3兆3213億円、内訳は1億総活躍社会関連が1兆1646億円、TPP対策が3403億円、災害復旧・防災関連が5169億円、東日本大震災復興関連が8215億円、テロ対策・伊勢志摩サミット対応144億円、マイナンバーカード製造283億円、軽減税相談窓口170億円、自衛隊災害対処能力向上979億円、宇宙開発関連421億円、訪日観光客受け入れ環境整備費10億円、など。
しかし、“緊急に実施すべき対策”として取りまとめられた「1億総活躍社会」の目玉が低所得高齢者への3万円の現金給付では、「構造的課題」に正面から向き合っているとは言い難い。1250万人を対象に総額3624億円の予算が付けられたこの現金給付は、そもそも「アベノミクスの効果が及ばない年金受給者へ税収の一部を分配する」(甘利経済再生相)ことが目的であり、文字通り一時的な個人消費喚起策である。また、TPP対策についても高収益作物への転換や生産性向上の取り組みを支援するといった内容で、従来型農政の延長線上との印象は拭えない。
これでは投票率の高い高齢者と農家に対する選挙対策との批判は免れまい。表明された本来の目的を再度掲げ直し、「防災や復興関連を除く全額を少子高齢化問題に投入、待機児童や介護施設不足の問題を一挙に解消し、その他は2016年度へ」ぐらいの覚悟を期待したい。
今週の”ひらめき”視点 01.03 – 01.07
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