世界同時株安と内向き経営に潜むジャパンリスク


中国経済の失速、原油価格の急落、新興国経済の低迷、中東情勢のもう一段の混迷等を背景に株安の連鎖が止まらない。年明け以降、日本市場も日経平均で2600円以上の下落となった。これは時価総額で約76兆円に相当する。
売り圧力の直接的な原因は産油国の政府系ファンドの資金引上げと投機筋による「空売り」である。とりわけ、空売りの影響は小さくない。今年に入ってから東証売買代金に占める空売り比率は4割を越えた。この数値は過去最高レベルであり、言わば、「実体経済に対する不安心理を、膨大な過剰流動性を運用する投機的が煽っている」とも言えよう。
こうした中、取り沙汰されるのが、既に何回目であろうか、日銀の“黒田バズーカ”である。とは言え、もはや実体経済への効果は期待出来ないだろう。それこそ投機筋に対して格好のディール機会を提供するに止まる、とみるべきだ。

19日、IMFは2016年の世界経済見通しを0.2ポイント下方修正、前年比+3.4%に改定した。2016年は文字通り先行き不透明感の中でのスタートとなった。
しかし、日本経済にとっての本当のリスクは金融政策の是非でもなければ後退する新興国経済でもない。粉飾、データ改ざん、談合、労基違反、不正流通、、、“東芝”から“みのりフーズ”に至るまで日本中に蔓延する法令軽視の内向きな経営姿勢こそが最大のリスクである。不祥事の影響は当該企業に止まらない。業界全体の信用を毀損させるとともに、再発防止に向けての規制の強化が新たなコストと不効率を生む。シンプルでフェアな競争環境を実現するためにも不心得経営者の根絶を願う。

今週の”ひらめき”視点 01.17 – 01.21

 

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