外部環境は共通。しかし、チャンスは一律ではない
2015年度決算を前に大手商社をはじめ資源関連や電機電子部品大手の決算見通しが相次いで下方修正されはじめた。そこに共通するのは「中国を筆頭とした新興国、資源国経済の急速な悪化を受けて」との背景説明であり、電機電子部品はそこに「スマホ需要の一巡」が加わる。
確かに、その通りであろう。しかし、それがすべてではない。横河電機は「原油安により中東における新規のプラント需要は減少したが、既存設備の保守サービス需要が大きく伸長」し、2015年4月-12月の連結純利益は過去最高となった。三菱電機も同期間の純利益が過去最高を記録した。牽引したのはFA機器、自動車用機器で「欧州北米だけでなく中国でも好調を維持した」ことが連結利益を押し上げた。また、エアコン、冷蔵庫などの家電部門も日米欧そしてアジアにおいて個人向け法人向けともに売上を拡大した。
多くのアナリストが彼らの好調さを「複数の強い事業が逆風を跳ね返した」などと解説した。しかし、個々の事業を強化するための戦略や取り組みの差が明暗を分けたことに踏み込まなれければ説明にはなるまい。そうでないと中国経済の失速や資源安というマクロ環境における“一律の言い訳”に日本全体が沈みこんでしまう。
成長を導くのは政治家ではないし、ましてやマイナス金利ではない。それぞれの企業がそれぞれの事業領域にチャンスを見出し、リスクをとって実行することがすべてである。外部条件は誰にでも等しいのだから。
今週の”ひらめき”視点 01.31 – 02.04
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