投資家マインドと政策にギャップ。リスク資産からの逃避、顕著に


9日、長期金利の指標となる新発10年物国債の市場利回りが初めてマイナスになった。同じ日、円は114円台に上昇、日経平均も大きく下げ、翌10日の前場では1年3ヶ月ぶりに1万6千円を割り込んだ。
日銀が導入したマイナス金利は民への資金還流の拡大と株安・円高への流れを変えたいとの思惑が根底にある。しかし、資金需要がなければ資金の実需は生まれない。需要が過小すなわち停滞局面でのマイナス金利は、貸出増加効果よりも金融機関自身の収益悪化や受取利息の減少といった負の側面が浮き彫りになる。実際、預金金利の引下げ、MMFの販売停止、償還の前倒し、口座手数料の導入検討、、、といったニュースは投資家から将来に対する楽観的な気分を奪う。これに新興国経済の急減速、原油安、欧州金融機関の経営不安、更に「昨年の実質賃金は4年連続でマイナス」、「1月の企業物価指数が10ヶ月連続で前年を下回った」といった情報が重なる。

首相は国会で「我々の政策によってデフレでない状況を作り出した。後戻りは出来ない」と日銀の施策を擁護した。しかし、そもそも政府、日銀は「もはやデフレでない」「全国津々浦々へ恩恵を」「2%の物価安定目標に向けたモメンタム(=勢い)の維持」といった発言を繰り返すうちに、自分自身の言葉の罠にはまり込んでいるのではないか。まずは政策判断の根拠となるべき前提条件を現実に引き戻すことからはじめていただきたい。

今週の”ひらめき”視点 02.07 – 02.11

 

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