事故から5年、“被災”は終わっていない
9日、大津地裁は再稼動したばかりの高浜原発3,4号機について「関電による安全立証が不十分である」ことを事由に運転差し止めの仮処分を決定した。
これに対して関電は「極めて遺憾。不服申し立ての手続に入る」ことを表明するとともに、10日、3,4号機の停止作業に入った。関電は高浜3,4号機の再稼動による収益改善を前提に5月からの電力料金値下げを発表しているが、事業計画の修正は避けられず値下げは見送られる公算が強い。関電エリアはもちろん、地元高浜町の経済活動に対する影響は小さくない。
ただ、だからと言って今回の決定を軽視することは出来ない。政府は「世界最高水準の安全基準に適合するとした原子力規制委員会の判断を尊重、再稼動を進める」とするが、その高浜でも再稼動直前の冷却水漏れ、再稼動直後の緊急停止などトラブルが相次いだ。事故は起こる、これを前提とすれば不測の事態への対応も含めた安全立証責任の大きさは言うまでもない。
流入、流出が続く汚染水、わずか2%に止まる中間貯蔵施設の用地買収、まったく目処の立たない最終処分場、未だに行方不明の溶け落ちた核燃料、そして、帰還できない住民、、、福島の現実を踏まえれば、“万が一の事態”に対する説明責任を関電のみに負わせることは出来ない。原発は電力会社、規制委、立地自治体の手に負える代物ではないことを、日本は日々突きつけられているだから。
今週の”ひらめき”視点 03.06 – 03.10
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