外国人労働者問題、ご都合主義の規制緩和は新たな摩擦を生む


外国人の受け入れ拡大を検討する自民党の「労働力の確保に関する特命委員会」は、外国人を明確に“労働者”と位置づけたうえで、受け入れ職種の拡大や在留期間の延長など規制緩和策をまとめ、4月内に政府に提言すると発表した。ただし、与党内で抵抗が強い“移民政策”の是非には踏み込まない。

90年代、南米からたくさんの日系人が来日し、自動車産業に就労した。しかし、彼らの在留資格は「定住者」だった。その彼らがリーマン・ショック後のリストラで帰国を余儀なくされると、今度は「技能実習生」という名の外国人労働者が大挙してやってきた。やがて、この制度は低賃金、長時間労働、不当拘束、賃金未払いの温床として社会問題化する。
問題の根本は、就労目的で来日し、実際に就労している外国人を“労働者”として扱わなかったことにある。その意味で上記委員会の方針は前進と言える。しかし、移民の問題に踏み込まない議論は、建前と実態との新たな乖離を発生させかねない。

円の価値が下がった今、稼ぐ場としての日本にかつての魅力はない。「労働力不足を低コストで補って欲しい。ただ、期限が来たら帰ってくれ」では見向きもされないだろう。
「規模」の拡大を本当に国是とするのか。そうであれば移民の問題を先送ることは出来まい。問われているのは“3世代先の日本の在り方”である。

今週の”ひらめき”視点 03.13 – 03.17

 

~変化の予兆をつかむ、変化の本質を見抜く~
今週のWebニュースクチコミランキングはこちらからもご覧になれます。

 


コメントを残す