「パナマ文書」が引き裂く信頼。波紋は大きく、深く広がる


租税回避地(タックスヘイブン)の法人設立代行事務所から40年分の取引記録が流出、「パナマ文書」として公開された。1100万件を越えるデータにはロシアのプーチン大統領、中国共産党の習主席の縁者をはじめ世界の要人、公職者、大企業、トップアスリートの名前が含まれる。今後、タックスヘイブンを舞台としたダミー会社やオフショア取引の解明が期待されるが、一方、既に徹底した情報統制や政治的な駆け引きも始まっていて、影響の行方は予断を許さない。

アップル、スターバックスなどグローバル企業による“アグレッシブな節税”が問題視された2013年、OECDとG20は「税源浸食と利益移転(BEPS)行動計画」を承認、以後、国際社会は多国籍企業の税金逃れ対策に取り組んできた。しかし、そもそもの問題は、租税回避地の活用それ自体に違法性はない、ということである。5日、「パナマ文書」はアイスランド首相を辞任に追い込んだが、議会が追及したのは「首相の資産隠しは国民に対する裏切り行為」という1点においてである。

OECDはグローバル企業の利益移転による各国の税収損失は12兆円~29兆円と試算する。武器や麻薬取引といった非合法取引は問題外である。しかし、合法であるがゆえの問題を解決しない限り、この問題の解決は遠い。

今週の”ひらめき”視点 04.03 – 04.07

 

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