野村グループ、欧米で1000人をリストラへ。“投資銀行”はどこに向かうか


2008年、野村證券は破綻したリーマン・ブラザースの欧州・アジア部門を2ドルで買収、世界の投資銀行業務のトップ10入りを目指した。しかし、資産や顧客の継承は除外され、平均年収3300万円、8500人もの高給社員を引き受けただけの買収は当初から成果が疑問視されていた。結果、2012年3月期には海外部門の赤字は1290億円に膨らみ、そのうえ、優秀な人材の流出が後を絶たなかったという。
そうした経緯を踏まえると、野村の世界戦略は再び行き詰まったと言って良いだろう。

しかし、投資銀行業務の不振は野村だけではない。13日、JPモルガンは1-3月期決算で投資銀行部門の収入が29%落ち込んだと発表した。HSBCは5万人、ドイツ銀行も3万5千人、モルガン・スタンレーも債券部門の1/4を削減すると言う。原因は世界経済の不透明感に伴う株式や債券取引の急減にある。一方、各国当局による投資銀行に対する規制強化の動きも看過出来ない。金融システムの安定化とガバナンスの強化を目指すこの流れは今後も変わるまい。とすると、投資銀行というビジネスモデルは“構造的な縮小過程にある”と理解すべきかもしれない。
とは言え、需要が失われるわけではない。それはどこへ向かうのか。恐らくキーテクノロジーはAIであり、マーケットは仮想空間だ。先端金融は、規制が及ばない新たな金融市場を準備しているはずだ。野村にそれは見えているか。

今週の”ひらめき”視点 04.10 – 04.14

 

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