三菱自工の隠蔽体質、再び経営を揺るがす
26日、三菱自工は燃費データの改ざんに関する調査結果を国交省へ報告したが、その内容は同社の“救いようのない不誠実さ”を明らかにするものであった。
1991年、道路運送車両法は走行抵抗の測定法を新たに定めた。しかし、既にこの時点から「それとは異なる」方法で計測を行っていたという。翌92年には違法な方法から正規の測定法に数値を逆算する計算法が考案され、01年には実際に実験まで行って違法計算の精度を確認している。07年にようやく法令に沿うよう社内マニュアルを改訂したが、これ以降もマニュアルは無視され続けた。つまり、「開発途上において目標燃費が何度も上方修正された」などという状況説明で解明される問題ではないということだ。
この四半世紀、一体何人の幹部社員がこの不正を引き継ぎ、後任者にそれを教唆したのか。恐らくこの部門から役員へ昇格した者もいたはずだ。であれば、取締役会は不正の共犯者であり、当然ながらトップが知らないはずはない。
00年、04年と相次いだリコール隠しは三菱自工を重大な危機に追い込んだ。しかし、三菱グループの全面支援のもと13年に累損を解消、15年3月期には営業利益1384億円を計上するに至った。そうした中で発覚した組織的かつ超長期におよぶ不正は、5400億円を投じた三菱グループ各社はもちろん、従業員、取引企業、消費者、株式市場への明確な背信である。
22日、国産ステルス実証機「X2」が初飛行に成功した。富士重、川重、IHIとともにプロジェクトの主力を担う三菱重工にとってMRJに続く快挙だ。しかし、新聞の一面はもう一つの“スリーダイヤ”による不正に占められた。もはや、経営支援の大義はグループにもない。
今週の”ひらめき”視点 04.24 – 04.28
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