中国、孤立回避に向けての強硬策ゆえの「孤立」に苛立つ


9日、中国海軍の艦艇が尖閣沖の接続水域内を航行、同日、人民解放軍はインドと領有権を争うアルナチャルプラデシュ州に進入、14日、中国海軍は鹿児島県沖の領海を侵犯した。専門家はこれら一連の行動は日米印による海上共同演習「マラバール」を牽制するためと説明するが、背景には中国を取り巻く情勢変化に対する指導部の焦燥がある。
13日、訪中した独メルケル首相は鉄鋼輸出のダンピング問題に加え南シナ海や人権問題にも言及、一貫して親中派をアピールしてきたドイツに微妙な変化が現れた。翌14日、中国とASEANとの外相会議は、南シナ海問題で中立の立場をとってきたシンガポールとインドネシアが対中批判に転じたことで事実上決裂、共同声明さえ発表出来ない異例の事態となった。

2015年、中国の貿易総額は前年比7%の減少となった。内訳は輸出が▲5兆円(▲1.8%)、輸入が▲30兆円(▲13.2%)である。輸入の減少とは、言い換えれば、中国へモノを売ってきた側が30兆円の売上を失ったということである。需要の縮小は今年に入ってからも変わらない。輸入の前年割れは5月時点で19ヶ月連続である。
内需低迷、資金流出、所得格差、過剰債務、バブル懸念、、、中国経済は未だ成長への道筋が見えない。しかし、親中諸国による対中スタンスの変化は単なる「金目」の問題だけではあるまい。最大の懸念は「ASEAN外相会議の記事検索を直ちにブロックすることが国益である」と信じる指導部の時代錯誤とそれを十分過ぎるほど承知している国民の側に蓄積される負のエネルギーである。潮目の変化は、より本質的なリスクへの『警告』と理解すべきであろう。

今週の”ひらめき”視点 06.12 – 06.16

代表取締役社長 水越 孝

 

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