消費者からの信頼と自由な競争環境を維持するために業界は襟を正せ
関与成分の含有量不足により日本サプリメントの製品が特定保健用食品(トクホ)の許可を取り消された問題を受け、消費者庁はトクホに認定された全1270製品の成分調査結果を1ヶ月後までに提出させることを指示した。また、当初は次年度以降での実施を計画していた抜き打ち調査も年度内から前倒し実施するという。
トクホ制度は1991年から施行、当初は4年ごとに試験結果を審査する更新制であったが、1997年、規制改革の流れの中で永久許可制に緩和された。2015年からはメーカーの自己責任を前提とした「届出制」の機能性表示食品制度もスタートしている。
2年以上の報告を怠り、悪質性が高いと認定された日本サプリメントのガバナンスの問題は言うまでもないが、一方でそれが直ちに全製品の再検査へ波及する事態も異様である。企業サイドの良識を前提とした規制緩和への根本的な不信が消費者庁内に根深くあったということか。
トクホは消費者にとってメーカーに対する信用を担保する唯一の拠り所である。それゆえに「もう一段」の緩和をはかった機能性表示食品制度への影響も懸念される。とりわけ、後者は資金力や知名度に劣る中小企業の活用も多い。制度および業界に対する不信の連鎖を防ぐためにもトクホ1270製品すべての疑念が払拭されることを願う。
今週の”ひらめき”視点 09.25 – 09.29
代表取締役社長 水越 孝
~変化の予兆をつかむ、変化の本質を見抜く~
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