ネット通販の成長に暗雲? 配送コストの適正な分担を


ヤマト運輸の労働組合は宅配便の荷受量に総量規制を課し、労働環境の改善をはかるよう経営側に求めた。背景にはネット通販の急拡大、サービス競争の激化、単価下落、慢性的なドライバー不足がある。
一方、経営側にとっても“利益が出ない繁忙”は限界に来ており、今後、労使一体となって事業構造改革を進める方針である。
具体的には2017年度の宅配便荷受量を今年度水準に抑えるとともに大手顧客に対して値上げを要請する。また、再配達や時間帯指定サービスについても見直しを求める。

2倍を越える有効求人倍率の常態化は物流業界にとって重大な成長阻害要因である。絶対的なドライバー不足を解消できない大手事業者は6万社を越える中小個人事業者に配送業務を委託しているが、こうした下請事業者も6割が赤字である。
政府は昨年5月に改正物流総合効率化法を成立させ、事業者間の垣根を越えた協同配送を促すが、問題解決の決定打とはなっていない。
急激な需要拡大と熾烈な競争の中で進化してきたきめ細かな配送サービスはまさに“ジャパン・クオリティ”と言っていい。しかし、もはやそのコストを吸収できる余力は配送を担う側にない。店舗への投資を必要としない通販事業者、自宅に届くことの便益を享受する消費者、コスト構造の再配分が求められている。

今週の”ひらめき”視点 02.19 – 02.23

代表取締役社長 水越 孝

 

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