準天頂衛星みちびき2号機、打ち上げまで後34日


2017年度、日本のロケットの打ち上げ数が過去最多の8機を数える見通しになった。「超小型」から「大型」まで日本が保有する全機種の発射体制が整ったことと日本版GPS「準天頂衛星システム」の整備時期が重なったことが要因。位置情報や地上画像を提供する衛星ビジネスへの期待は高く、政府も宇宙ビジネスの本格的な支援施策の検討に入る。

わが国の宇宙関係予算はここ数年増加傾向にあるとは言え、概ね3千億円台の半ばあたりに止まっている。国の財政事情を鑑みれば当然であろう。とは言え、H2A、イプシロン、民生技術の活用による低コスト化を目指すSS-520など、日本の技術レベルは格段に高まっている。熾烈な国際競争を勝ち抜くためにも、政府予算とは別に民間投資の大きな流れを作り出すことが求められる。
一方、とかく「打ち上げ」産業が注目される宇宙ビジネスであるが、本来の主役は衛星等を活用するユーザー産業である。自動車の自動走行、ドローンの制御、IT農業機械の自動運転、遠隔医療、災害対策など、応用領域は広い。その意味で来年度から4機体制で運用される準天頂衛星システムの社会インフラとしての価値は高く、アジア・オセアニア全域をカバーすることの意義は大きい。
民間投資を活発化させるためには潜在市場の「規模」化は絶対条件であり、国境を越えた技術成果のオープン化が求められる。国が主導することの意義はここにあると言え、豪州やインドネシアとの一体的、戦略的な技術協力に期待したい。

25日、米ウーバーは2020年を目処に「空飛ぶタクシー」の試験飛行を目指すと発表した。センチメートル単位での測位が可能な準天頂衛星はまさに最適なインフラとなるはずだ。政府は準天頂衛星のカバーエリア全域を「空飛ぶタクシー」のための研究開発特区とし、世界中のベンチャーに無償開放するぐらいの大胆さがあっても良いだろう。そのぐらいであってはじめて日本の宇宙ビジネスも世界中の民間資金を引きつけることが可能となる。

今週の”ひらめき”視点 04.23 – 04.27

代表取締役社長 水越 孝

 

~変化の予兆をつかむ、変化の本質を見抜く~
今週のWebニュースクチコミランキングはこちら


コメントを残す