自動運転実験、地方ではじまる。新たな人の流れを作り出すための戦略視点が求められる
今回の衆院選挙を一言で表現すると“消極的に選択された現状維持”と言えよう。自民党の獲得議席数は解散前と同数であった。とは言え、有権者にそれを選択させた野党側のドタバタが、結果的に「政策選択にもとづく政権選択」への道を開いたのであれば、解散の意味はあった、とも言える。
さて、選挙戦では多くの候補者が地方創生を公約の一つに掲げた。しかし、いずれも総論に終始し、具体的な政策論争には発展しなかった。
一方、東京では報道されることが少なかったがこの9月から国土交通省による中山間地域における自動運転の実証実験が全国13箇所ではじまっている。これは“道の駅”を拠点とした自動運転サービスの実証実験で、2020年までに社会実装することを目指している。
東京近県では9月2日から栃木市の道の駅“にしかた“を拠点に実験がスタート、山形県では廃線になった旧高畑鉄道の線路跡を活用、道の駅“たかはた”を拠点に町の中心部やJR高畑駅など市内の要所を結ぶ実験が行われる。
これらの取り組みは技術の高度化はもちろん、中山間地域や過疎に暮らす交通弱者対策という意味において重要である。しかし、過疎に住む高齢者を病院や商業施設に連れ出すだけでは地方の活性化は実現しない。単に“不便さの解消”が目指されるのであれば、いずれまた行政コストの問題が浮き彫りになる。
拡散した生活の場を単につなぐための手段ではなく、新たな事業を創出し、地域の求心力を再生するためのイノベーションツールとしての自動運転サービスを期待したい。大きな視座をもったオペレーターの登場が望まれる。
今週の”ひらめき”視点 10.22 – 10.26
代表取締役社長 水越 孝
~変化の予兆をつかむ、変化の本質を見抜く~
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