NEDO助成金詐欺、ベンチャーに対する公的支援の抜本的な見直しを!


スーパーコンピュータ開発のベンチャー「PEZY Computing」社を率いる齊藤元章氏がNEDOからの助成金4億3千万円を不正受給した容疑で逮捕された。
虚偽報告は事実であろう。また、不正流用の有無、総額35億円にのぼる助成金と政界周辺へ通じる人脈との関係なども取り沙汰される。不明な点も多く、解明が待たれる。
一方、NEDOを舞台にした助成金不正はこれまでも繰り返されてきた。助成金の使途はNEDOが認定した特定の研究開発テーマに限定される。しかし、そもそも運転資金に余裕がなく、経営基盤が脆弱なスタートアップ期の研究開発型ベンチャーにとって、資金使途の“境目”がグレーになりがちなことも事実である。もちろん、経営者の倫理意識の欠如や管理能力の低さを容認することは出来ない。ただ、そうであれば助成する側からの経営参画や監査体制の強化など、もう一歩踏み込んだ支援が必要であったろう。

先端技術開発、ベンチャー育成、産業振興等において公的資金が一定の役割を果たすことに異論はない。とは言え、乱立した官民ファンドも多くが所期の目的を達することが出来ていない。経産省の海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は2013年度から2016年度で1510億円の投資を計画した。しかし、実行されたのは310億円、執行率は20.5%にとどまる。文科省の官民イノベーションプログラム(国立4大学発ベンチャーキャピタル)は1000億円の国費が予算化されたが投資額は54億円、執行率は5%という有様である(2017年7月時点)。
PEZY Computingが開発したスーパーコンピュータ“暁光”の計算速度は毎秒1京9千兆回を越える。世界のスパコンランキングの計算速度部門で4位、消費電力性能で1位に輝いている。国は本件を反面教師として将来性のある研究プロジェクトや有望ベンチャーに対する公的支援の公正、透明、効果的な在り方について、省益を越えた次元において根本から見直す必要がある。

今週の”ひらめき”視点 12.03 – 12.07

代表取締役社長 水越 孝

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