トランプ氏、ゲームから降りるゲームチェンジャー


エルサレムをイスラエルの首都と認定したトランプ氏に世界が困惑する。
1993年8月、PLOのアラファト議長とイスラエル・ラビン首相はビル・クリントン米大統領の仲介のもと「PLOを自治政府として、イスラエルを国家として相互に承認する」ことに合意した。以来、“2国家共存”が問題の最終解決に向けて国際社会の前提となった。つまり、トランプ氏による今回の宣言は積み上げられてきた関係者の努力を言わば白紙に戻すものであり、同時に中東和平における仲介者としての役割を米国が放棄したことを意味する。

ブエノスアイレスで開催中のWTO閣僚会合で米国は、欧州、日本とともに中国を念頭に“市場を歪める不公正な貿易慣行”に懸念を発表した。しかし、米国は11日の演説で多角的貿易の理念を否定し、反WTOの立場を鮮明にしている。そして、閉会を待たずして帰国、結果、WTOは全会一致による閣僚宣言の採択を諦めざるを得ない事態となった。

そうした中、「多国間貿易とWTOルールの有効性を強く支持する」と表明したのはまさにその中国であり、一方で、「世界の平和を破壊するのは誰か、誰が国際社会のならず者か」と北朝鮮が声をあげる。
インターネット安全法、技術移転の強制、資金規制、国内産業に対する巨額補助金、、、貿易における中国の“不公正”は周知の事実であり、ましてや北朝鮮については“何をか言わんや”である。とは言え、米国の国際的な信任が揺らぐ中、世界から共通の大義が失われてゆく、未来が抱えるリスクはここにある。

今週の”ひらめき”視点 12.10 – 12.14

代表取締役社長 水越 孝

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