「イプシロン3」、「アスナロ2」が拓く民間宇宙マーケットの可能性


18日、JAXAは小型ロケット「EPSILON3号機」の打ち上げに成功した。同機の打ち上げ費用は日本の基幹ロケット「H2A」の半分以下の45億円、1、2号機に続く成功は小型衛星の商業打ち上げ市場への参入可能性を開く。
搭載された衛星はNECの地球観測衛星「ASNARO2」、高性能小型レーダーにより気象条件や昼夜を問わず地上を観測、撮影できるという。

今回のミッションで注目すべきは、NECが衛星メーカーとしてのポジションから宇宙利用サービス事業者への第一歩を踏み出した点にある。同社は「ASNARO2」の打ち上げに際し、衛星の自主運用拠点となる「NEC衛星オペレーションセンター」を新設、システムの運用から画像やデータの配信サービスを一貫して行うこと、今後3年間で宇宙ソリューション事業を50億円規模に育てることを発表した。

日本の宇宙産業の市場規模は年間1兆2千億円、政府は“2030年代には現在の2倍規模に拡大”との目標を掲げている。先行する米、欧、露、中、印と渡り合うにはロケットや衛星といった機器開発や打ち上げサービスなどのハード分野はもちろんであるが、ソフト分野、すなわち宇宙利用サービス市場における事業創出力の強化が鍵となる。NECの戦略はこうした流れの中で評価されるべきであり、この意味において宇宙ゴミ対策に取り組む「アストロスケール」や通信衛星アンテナのシェアリングを目指す「インフォステラ」など高度なビジネス構想力をもったベンチャーの台頭、成長に期待したい。

今週の”ひらめき”視点 1.14 – 1.18

代表取締役社長 水越 孝

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