中国の民主化、遠のく。習近平モデルの拡散を懸念する


2月26日付の本稿でモルディブの非常事態宣言とその背景にある中国への懸念を伝えた。その非常事態が22日にも解除されるという。ヤミーン政権は反政府すなわち反中国派の排除に成功したということか。

その2日前、2期目がスタートした習近平氏は全人代で国家運営の基本方針を示した。「中国は永遠に覇に訴えず、拡張を図らない」と語る一方で、世界一流の軍隊を形成する、国際秩序に積極的に関与する、偉大な領土を一寸たりとも分割させない、すべては党が指導する、中華民族の偉大なる復興を実現する、とのメッセージを国内外に発信した。

1978年、改革開放に舵を切った鄧小平氏は最高指導部に定年と任期制限を設けることで権力の長期占有と個人崇拝の再発を封じた。経済発展はやがて中国に民主化をもたらすだろう、と世界は楽観した。しかし、独裁への歯止めは習氏によっていとも簡単に外された。

アラブの春は中東から安定を奪った。新自由主義は格差を助長した。分断された側、取り残された側の声が大きくなりつつある中、統制と排除の論理が拡散する。
民主化と人権を世界戦略の旗印に掲げてきた米国が自国第一主義に引き籠る中、習氏による一党独裁型の政治スタイルが新興・途上国の少なからぬ為政者たちを勇気づける。

今週の”ひらめき”視点 3.18 – 3.22

代表取締役社長 水越 孝

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