フェイスブック、膨張するリスクと社会的責任


米議会は、フェイスブックから流出した8千7百万人の個人情報がトランプ氏陣営の英コンサルティング会社によって不正利用されたことについて、マーク・ザッカーバーグCEOに対して公聴会で証言するよう要請した。

この問題に端を発する抗議行動はハッシュタグ「#deletefacebook」で拡散、2014年に同社に買収されたワッツアップの共同創設者ブライアン・アクトン氏やテスラモータース、スペースXの創業者イーロン・マスク氏も賛同を表明、相次いで公式ページを削除した。また、アップルのティム・クック氏も「個人の生活を不正に売買することはプライバシーの侵害」と発言するなど、プライバシー保護の強化とフェイスブック批判の流れが急速に醸成されつつある。

一方、国連もロヒンギャの難民問題に関連してフェイスブックを「ヘイトスピーチの温床」、「暴力奨励を媒介」と名指しで非難、元幹部のバリハビティヤ氏も「社会の分断を助長している」、「自分の息子には使わせない」などと発言、Facebook社自身も「世界をつなぐことは良いことばかりとは限らない」と自らのミッションステートメントの負の側面を認めた。

世界20億人のユーザーを擁するフェイスブックは、今や一企業のガバナンスを越えた“力”を持ちつつある。テクノロジーとビジネスモデルの自立的な成長が巨大な社会的リスクとなりつつあるということだ。世界がフラットにつながるまでにはまだまだ時間を要する。

今週の”ひらめき”視点 4.1 – 4.5

代表取締役社長 水越 孝

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