米中経済摩擦、貿易の停滞と混乱の回避に向けて
18日、財務省は「2017年度の中国向け輸出が過去最高の15兆1871億円(前年比18.3%増)を記録、6年ぶりに対米輸出額を上回った」と発表した(「貿易統計速報」より)。
とは言え、対米輸出も15兆1819億円(前年比7.5%増)とほぼ同水準を維持する。米中はいずれも日本にとって最大のお得意様であり、したがって、両国の貿易摩擦と対抗措置の応酬は日本にとって大きなリスクとして顕在化しつつある。
米国による鉄鋼・アルミ課税とそれに伴うEUのセーフガードは安価な中国製品をアジア市場へ流出させるだろう。中国による米国産大豆の輸入制限はロジスティクスを担う日系商社のビジネスを奪う。米国による華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)製品の調達禁止措置は両社へ部品を供給する日本メーカーの事業計画に影響を及ぼす。東芝半導体子会社の米投資ファンドへの売却も中国当局による独禁法審査の遅れにより見通しが立たない。そもそも貿易の停滞に伴う米中経済そのものの失速も懸念される。
こうした中、8年ぶりの日中ハイレベル経済対話と日米首脳会談が開催された。日本は中国と多国間自由貿易体制の維持で協調する一方、米国とともに「自由で開かれたインド太平洋戦略」で“一帯一路”をけん制する。米国は日本が要求してきた「鉄鋼・アルミ関税の対象国からの除外」を退けたうえで、二国間協定による“不公正な日米貿易”の解消を目指す、と言明した。
金融分野や自動車産業における外資規制の撤廃など中国側からの“メッセージ”も出始めた。しかし、まだまだ予断を許さない。両国の狭間にあっての対米、対中交渉は安全保障とも関連するだけに容易であるまい。しかし、それゆえに日本はTPP11を主導した立場において、自らの原理原則を貫いて欲しい。それがリスク回避に向けたシンプルかつ唯一の突破口である。
今週の”ひらめき”視点 4.15 – 4.19
代表取締役社長 水越 孝
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