東芝、メモリー売却の最終期限迫る。IPOの選択肢も浮上


15日、東芝は2018年3月期連結決算を発表、売上高は前期比2%減の3兆9475億円、
当期利益は8040億円の黒字、自己資本は7831億円のプラス、2期連続での債務超過を免れたことで上場維持が確定した。
とは言え、最終損益を押し上げたのは原発子会社WHの債権譲渡益など一時的な要因であり、売却を前提としたメモリー事業が連結から除外されたこともあり営業利益は22%減の660億円にとどまった。

東芝は2019年3月決算で、メモリー事業の売却益9700億円を見込む。しかし、中国の独禁法審査の最終期限が28日に迫る中、承認の可否は依然不透明な状況にある。
決算説明会では「売却方針に変更はない」と言明したが、ここへきて「売却を中止し、IPOを目指す」ことも検討されている、とのニュースが流れる。

巨額な設備投資を必要とするメモリー事業で競争力を維持し続けることは容易でない。ライバル「サムスン」との体力差も大きい。スマートフォンの成長にも陰りが見える。
しかし、事業売却、大型増資、子会社処分等を通じて債務超過を解消し“上場”に踏みとどまった今、高く売れる事業、つまり、稼ぎ頭でもあり、成長可能性でもある事業をあえて手放すことの是非を再考すべきであろう。
メモリー事業を抱え込むリスクは大きい。しかし、売却によって得た多額のキャッシュを投下するに値する事業戦略はあるのか。東芝は自身の未来をどう描き、そこに何を賭けるのか、問われているのは次世代戦略そのものである。

今週の”ひらめき”視点 5.13 – 5.17

代表取締役社長 水越 孝

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