スタートトゥデイ、PB販売開始。ZOZOSUITが目指す世界観と既存業界とのギャップが拡大


3日、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは、初のプライベートブランド“ZOZO”のメンズスーツとドレスシャツのセット販売を開始した。同社初のPBであること、また、セット価格2万4800円(税込)という上代設定だけでも注目されるが、最大の特徴は採寸用スーツ“ZOZOSUIT”で計測した体型データを活用したオーダーメード製品であることに尽きる。改良型“ZOZOSUIT”の配布数は3日時点で55万着超、今期末までに1000万着を無償配布、あわせてPBの品目数も10~20品目へ拡大、PB事業で200億円を目指す。2019年3月期の通期連結業績は取扱高3600億円(前期比133.1%)、売上高1470億円(同149.3%)、営業利益400億円(同122.4%)を見込む。

同じ3日、オンワードホールディングスとストライプインターナショナルは「次世代ビジネスモデルの共同開発を目的とする戦略的パートナーシップをスタートさせる」と発表した。
顧客ターゲットや主力チャネルが重ならない両社にとって協業によるリスクは少ない。一定の成果は期待できるだろう。ただ、提携の中身が①両社がそれぞれ運営するECモールへの共同出店、共同販促、②リアル店舗における業態開発、相互送客、③オンワードの企画生産プラットフォームとストライプの商品企画力を活用した共同マーチャンダイジングの推進、というレベルに止まるのであれば、“新しいタイプの従来型ビジネス”以上のインパクトはない。そこで表現されているのはあくまでもベンダーサイドにとっての都合であり、言い分に過ぎない。

一方、スタートトゥデイのメッセージはシンプルだ。「ファッションに自信がない人に勇気を持たせる」、「誰もがサイズが合う服を着ることができる」、「興味がない人に好きになってもらう」、中期経営計画ではこれらを実現するための“やるべきこと”として施策が説明される。
サプライチェーン改革、新業態開発、時代に適応したビジネスモデルの構築、、、その通りだ。とは言え、共同出店(商品補完)、相互送客(顧客共有)、効率化(原価削減)では新しい需要は生まれない。オンワードそしてストライプの両社には需要創造に向けてのストレートなメッセージともう一歩踏み込んだ経営統合を期待したい。

今週の”ひらめき”視点 7.1 – 7.5

代表取締役社長 水越 孝

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