出口の見えない金融政策、物価目標+2%の達成は依然遠い


31日、日銀は、0%程度とした長期金利の誘導目標について従来比で2倍、0.2%程度までの変動を容認すると発表した。あわせて、将来の金融政策を予告する“フォワードガイダンス”を導入、「当面は超低金利政策を維持する」ことをコミットした。一方、消費者物価については2018年度の見通しを前回4月の+1.3%から+1.1%へ引き下げるとともに2019年度と2020年度の見通しもそれぞれ+1.5%、+1.6%へ下方修正した。

金融政策の今回の変更は、長期にわたって続く国債や上場信託(ETF)の大量買い入れと超低金利による“副作用”への配慮を示すことで現行政策を長期的に維持することが狙い、と解説される。何とも分かり難いが、要するに「2013年4月、日銀は“黒田バズーカ”による異次元緩和をスタート、2%のインフレ目標を2年程度で達成すると公約した。しかし、5年経った今、2020年度の達成すら難しい情勢だ。一体、いつになるのか分からない。副作用への手は打った。だから、見通しが立つまでこの政策を続ける」ということだ。

量的緩和はリーマンショック後の緊急措置であった。米国は既に政策金利の引き上げに転じ、欧州も年内には量的緩和を打ち切る。黒田氏は会見で「金利は経済・物価情勢等に応じてある程度上下するもの」と語り、変動への柔軟性を容認した。しかし、政策の本質は変わらないし、そもそも金融による対処療法だけで好循環は生まれない。市場原理を恣意的に歪め続けることに対する懸念が期待効果を上回りつつある中、日本は危機対応からの出口を見失いつつある。

今週の”ひらめき”視点 7.29 – 8.2

代表取締役社長 水越 孝

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