「この世界の片隅で」から半世紀、日本は残り続ける「問題」に向き合えるか


2016年11月の公開以来、異例のロングランとなった映画「この世界の片隅に」(原作:こうの史代、監督:片渕須直)をご覧になった方も多いだろう。この12月には新たなシーンを追加した作品が公開されると言う。
一方、映画のヒットは、1965年7月初版の「この世界の片隅で」(山代 巴 編)に再び光をあてることとなった。1945年8月6日、あの日からの20年間を広島の「片隅で」生き抜いた市井の人々の実相が心に突き刺さる。

「今では「原爆を売りものにする」とさえいわれている被爆者の訴え、、、」と山代氏がまえがきで記述した“今”とは半世紀以上前の日本である。そして、その訴えが表面化するまでに「無視され、抑圧された長い時期があった」という。当時、原爆の被害を訴えることは“占領政策への批判”とみなされ、そうした者は“沖縄に送られて重労働の徒役になる”という噂さえあったという。
その沖縄はThe Government of Ryukyu Islands(=琉球政府)であり“沖縄”ではなかった。沖縄は流球列島米国民政府の統治下にあり、日本国の憲法、国内法から切り離されていた。

7月27日、札幌で開催された全国知事会は日米地位協定の抜本的改定を求める提言を全会一致で採択した。提言は昨日(8月8日)逝去した沖縄の翁長知事が2015年に提唱、「日本の領土・領海を守る」ことを共通の前提としたうえで2016年から米軍基地負担の在り方について知事会として検討してきた。基地の有無を問わず47都道府県の一致した声であるという点においてその意味は軽くない。
すなわち、占領政策の一端が依然として機能していることに対する地方からの問題提起である。背景には本土の沖縄化への懸念がある。山代氏の書の中に「ともかく問題は将来に残ります」という一節があった。その通りとなっている。

今週の”ひらめき”視点 8.5 – 8.9

代表取締役社長 水越 孝

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