グーグル、「Google+」の終了を発表。統合された情報ニーズのその先の未来について
米グーグルは「Google+」の消費者向けサービスを2019年8月末で閉鎖すると発表した。同社は「消費者の期待に応えられるサービスを開発し、維持することが出来なかった」と事業の失敗を認めるとともに、約50万人分の個人情報が流出した可能性を明らかにした。
グーグルがソフトの欠陥を把握したのは2018年の3月、同社は「直ちにソフトを修復、個人情報の悪用は確認されなかった。よって公表しなかった」と釈明した。
しかし、この3月という時期は、英国の政治コンサルティング会社が8700万人ものフェイスブック利用者の個人情報を不正利用していたことが発覚したタイミングと重なる。つまり、SNSの運営企業に対する社会的批判から逃れるために意図的に隠蔽したのではないか、との懸念が拭えない。個人情報の利用範囲の拡張に対する欲求がその管理責任に対する意識を上回ったと言っても良いだろう。
個人にひもづく情報を統合的に活用したいとの欲求は、AIの技術的進歩を背景に企業はもちろん、社会、国家において極大化する。それは使われる側の個人にとっても利便性の向上という意味において対立しない。ゆえに容認され易く、また、実損がない限り不正利用への感度は鈍くなる。
一方、個人情報の有償取引や個人情報の遮断をサポートするニュー・ビジネスも生まれつつある。欧州のGDPRに象徴される個人情報保護の制度的な強化も進む。利用価値が高まれば高まるほど資産としての価値は高騰する。結果、個人情報の運用と保全を狙ったビジネスや規制が準備されるということだ。
そして、こうした流れは他方でそこからの離脱を指向する新たな価値(=“mode”)を生み出すだろう。Gmailにひもづいた個人情報の一元的統合を目指した「Google+」の蹉跌は、「あらゆるものが効率的につながる世界」に対するアンチテーゼの“始まりの予兆”であるかもしれない。
今週の”ひらめき”視点 10.7 – 10.11
代表取締役社長 水越 孝
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