世界から平均の意味が失われてゆく
クレディ・スイスの2014年度「グローバル・ウェルネス・レポート」によると、2014年(年央時点)の世界における家計の富の総額は263兆ドル、現在の米ドル為替ベースで前年比8.3%の増となった。
日本の家計の富の総額は23.2兆ドル、前年比2%増、純資産100万米ドル以上を持つ富裕層は2,728千人で世界2位、成人1人当たりの富の中央値は113千ドル、世界第6位。
そして、今後5年間で世界の家計の富の総額は40%拡大、これに伴い富裕層の数は53%増えると分析する。同期間の日本における富裕層の増加率は74%、2019年時点でも世界2位を維持するという。
一方、依然として10億を超える人々が極度の貧困状態にあり(OECD)、また、先進国や新興国では“相対的貧困”、すなわち、格差の進行が避けられない。世界は、「平均」の有効性をますます希薄化させつつある。「平均」から導かれた政策やマーケティングの適用範囲には、誰もいない、ということだ。
とは言え、「成人人口の9割以上が1万ドル以上の資産を持ち、10万ドル以上の富を有する割合が54%と世界平均の6倍以上」(上記レポートより)という日本の高位安定ぶりは傑出している。格差の進行も中間層の厚みにはばまれ、緩慢である。まさに“世界が羨む”状況が猶予されていると言え、ここが未来へ向けてのアドバンテージとなる。
今週の”ひらめき”視点 11.09 – 11.13