感染症対策やHACCP対策などを背景に成長する非加熱殺菌装置市場
~中小型装置を中心に需要が増加、2020年度に市場規模は500億円を超えると予測~
1.市場概況
殺菌は、健康被害や商品の品質管理などのリスクを低減する上で欠かすことができないものであり、期待される殺菌効果や殺菌対象物の特性などに準じて様々な殺菌方法が存在する。本調査対象である非加熱殺菌(紫外線殺菌など)のほかにも加熱による殺菌がある。
感染症対策や食中毒対策、食品関連事業者のHACCP対応などを背景に、非加熱殺菌装置市場は拡大基調にあり、2017年度の国内市場規模は装置メーカー出荷金額ベースで445億円、2018年度は462億円の見込みである。
2.注目トピック
中小型装置の需要増加
非加熱殺菌装置は、工場や上下水道施設などで使用される大型装置から、小売店や外食チェーン店などで使用される中小型装置まで、サイズの異なる製品が市場投入されている。大型装置は単価が高く、これまで市場を牽引してきた存在であるが、多くの工場や上下水道施設などで新設需要は一巡し、現在は更新需要が中心となっている。
一方、新設需要が見込まれるのは中小型装置である。衛生管理強化や商品・サービスの品質向上を目的として、中小企業や各種施設・店舗(宿泊施設やレジャー施設、外食店舗、レンタル用品店など)で非加熱殺菌装置を導入する動きがみられる。これらの企業や施設・店舗では装置の設置スペースに制約があり、また宿泊施設のように各部屋に殺菌装置を持ち運んで使用する運用形態であれば、可搬性が要求される。こうしたなか、中小型装置の需要が増えている。
また、外食店舗や食品小売店舗など食品関連の商品・サービスを提供する事業者は、HACCP対応の取り組みを進めるとみられ、引き続き中小型装置の需要は増加するとみる。
3.将来展望
非加熱殺菌装置市場は既存装置の更新需要に加えて、感染症対策や食中毒対策、HACCP対応などの取り組みに伴う新設需要により、2019年度以降も拡大し、2020年度に501億円(装置メーカー出荷金額ベース)を予測する。
2019年度から2020年度にかけては、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなど世界的なスポーツ大会が日本で開催され、国内外からの集客が見込まれる。これに伴い、宿泊施設や飲食店などの新規開業または施設・店舗改装などが想定されることから、衛生管理強化を目的とした非加熱殺菌装置の需要が増える可能性がある。
また介護施設や医療関連施設は、利用者の感染症対策など衛生管理の観点から非加熱殺菌装置の需要があると考える。これらの施設を運営する事業者の中には、大規模な設備投資が難しいケースが多くみられることから、一定の殺菌効果を有し、かつ低コストでコンパクトな製品が求められるものとみる。
このほか、将来的に紫外線LEDなど現在研究開発が進められている技術・製品があるが、現状、これらの新しい技術・製品は、様々な条件での殺菌効果の検証や装置の低コスト化などの課題が存在し、なかにはメーカー単独ではすぐに解決することが難しいものも含まれる。そのため、メーカーは技術開発と並行して、実証試験やシステム運用などで連携できるパートナー(専門事業者や研究機関など)を見つけることも、技術・製品の実用化と普及を図る上で重要になるものと考える。
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殺菌水・殺菌ガス生成装置市場
高圧殺菌装置市場
放射線殺菌装置市場
ファインバブルの技術を応用した殺菌
調査要綱
2.調査対象: 非加熱殺菌装置関連企業(メーカー、エンジニアリング会社、研究機関)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、電話によるヒアリング及び文献調査を併用
<非加熱殺菌装置市場とは>
本調査における非加熱殺菌装置市場とは、加熱以外の方法を主として殺菌を行う装置の市場を指す。調査対象の装置には、紫外線殺菌装置(紫外線ランプ搭載型、紫外線LED搭載型)、次亜塩素酸系水溶液やオゾン水の生成装置(殺菌水生成装置)、オゾンや過酸化水素ガスなどの生成装置(殺菌ガス生成装置)、高圧殺菌装置、放射線殺菌装置(γ線滅菌装置、電子線滅菌装置)などが含まれる。
<市場に含まれる商品・サービス>
紫外線殺菌装置、次亜塩素酸系水溶液やオゾン水の生成装置、オゾンや過酸化水素ガスなどの生成装置、高圧殺菌装置、γ線滅菌装置、電子線滅菌装置など
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