2018年版 非加熱殺菌装置市場の現状と将来展望
各種の産業において、衛生面や品質面のリスクを低減する手段として、殺菌は欠かすことのできないテーマと言える。殺菌に期待される効果は、食中毒や感染症の予防といった消費者に身近なものから、工業製品の高品質化というB to Bの領域まで多岐にわたる。それ故、殺菌の対象物や目的、現場の環境などに合わせて、様々な殺菌方法が存在し、新たな技術の研究開発も活発である。様々な殺菌方法が存在する中で、本調査レポートでは「加熱」以外の方法で殺菌を行う「非加熱殺菌装置」に焦点を当てて、主要装置の市場動向や市場を取り巻く環境、代表的な参入プレイヤーの動向などについて調査・分析を行った。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査対象:加熱以外の方法で殺菌を行うことができる装置を扱うメーカーやエンジニアリング会社、研究機関
調査対象の装置:紫外線殺菌装置、次亜塩素系水溶液やオゾン水の生成装置、オゾンや過酸化水素ガスなどの生成装置、高圧殺菌装置、γ線滅菌・電子線滅菌装置
調査対象の取材先:装置メーカー、殺菌システムを構築するエンジニアリング会社、殺菌装置・システムの研究機関
調査方法:直接面接取材をベースに、電話取材や文献調査を併用。
調査期間:2018年5月~2018年8月
- 2020年頃の市場規模500億円超えが視野に入るペースで成長が続く非加熱殺菌装置市場
- 中小企業のHACCP対応や感染症対策のニーズが中小型装置の需要増加を後押し
- 水産業などでノロウイルス対策を目的とした紫外線殺菌やファインバブル殺菌の実証試験の取り組みが本格化
- 人手不足を背景に労働環境改善や事故リスク低減につながる安全な装置のニーズが顕在化
- 複合的な殺菌方法の提案が顧客の衛生管理の課題を解決するソリューションとなり得る
- 紫外線殺菌:水、表面、空気の各テーマでランプ搭載型製品が存在感を発揮
- UV-LED:小容量の水殺菌などで展開されるも本格普及は2020年以降と予想
- 微酸性電解水生成装置:殺菌効果と安全性を特長に販売台数を着実に増やす
- オゾン生成装置:紫外線ランプ搭載品は脱臭効果とNOxレスが評価されて業務用で導入例が増加
- 高圧殺菌:殺菌効果プラスαの付加価値をアピールし食品や化粧品分野での拡販を目指す
- 電子線滅菌:加速器関連設備の技術を持つ企業が新規プレイヤーとして名乗りを上げる
第1章:非加熱殺菌装置市場の現状と将来展望
第2章:非加熱殺菌装置市場の動向
第3章:非加熱殺菌装置メーカーの動向
調査結果のポイント
第1章:非加熱殺菌装置市場の現状と将来展望
1.非加熱殺菌装置市場の現状と将来展望
1-1.殺菌装置市場の動向
HACCP義務化や感染症対策の動きにより各種殺菌装置のニーズが増加
微生物の主な殺菌方法
本レポートで取り上げる非加熱殺菌装置
1-2.非加熱殺菌装置市場の現状
非加熱殺菌装置は中小企業や業務用途の案件を確保し市場が成長
非加熱殺菌装置市場規模推移(金額ベース)
1-3.非加熱殺菌装置市場の展望
異なる殺菌方法の複合化提案で新たな顧客の開拓へ
第2章:非加熱殺菌装置市場の動向
1.紫外線殺菌装置市場の動向
UV-LEDの開発は進むも引き続き主流の方式は紫外線ランプ搭載型
(1)殺菌方法の概要
(2)紫外線殺菌装置の特徴
①殺菌方法としての特徴
紫外線殺菌装置の主な特徴
②市場の特徴
(3)市場動向
①市場規模及び近年の動向
紫外線殺菌装置の市場規模推移(金額ベース)
紫外線殺菌装置の市場規模推移(金額及び台数)
②将来展望
2.殺菌水・殺菌ガス生成装置市場の動向
簡便かつ経済的に殺菌可能な製品として需要は堅調
(1)殺菌方法の概要
(2)殺菌水・殺菌ガス生成装置の特徴
①殺菌方法としての特徴
代表的な殺菌水
②市場の特徴
次亜塩素酸により殺菌する水溶液の主な生成装置メーカー
(3)市場動向
①市場規模及び近年の動向
殺菌水生成装置・殺菌ガス生成装置市場規模推移(金額ベース)
殺菌水及び殺菌ガス生成装置の主な需要分野
殺菌水生成装置及び殺菌ガス生成装置の主な活用例
②将来展望
3.高圧殺菌装置市場の動向
加圧による殺菌効果と他の効果の組み合わせが普及に向けたカギ
(1)殺菌方法の概要
(2)高圧殺菌装置の特徴
①殺菌方法としての特徴
高圧殺菌の特徴(加熱殺菌との比較)
②市場の特徴
(3)市場動向
①市場規模及び近年の動向
高圧殺菌装置の食品・飲料への適用例(試作を含む)
②将来展望
4.放射線殺菌装置市場の動向
容器向け装置やコンパクトな装置など新たな製品開発の動きが登場
(1)殺菌方法の概要
(2)放射線殺菌装置の特徴
①殺菌方法としての特徴
放射線殺菌の主な用途
γ線滅菌と電子線滅菌の主な特徴の比較
放射線による主な包装材料の強度への影響
②市場の特徴
主な放射線滅菌受託サービス会社
(3)市場動向
①市場規模及び近年の動向
γ線滅菌や電子線滅菌の主な分野別用途
②将来展望
第3章:非加熱殺菌装置メーカーの動向
1.ウシオ電機株式会社
産業用光源メーカーとしてノウハウを結集した殺菌装置を開発
水銀フリー製品などラインナップの拡充を進める
新たな事業領域として殺菌装置を展開
環境衛生に加え、海外の研究機関との連携によりUV-C殺菌装置の研究開発を加速
オゾナイザー「XEFIRIA」は2016年末の上市以来着実に販売実績を増やす
紫外線殺菌技術を用いて水の衛生管理や大気汚染などの社会的課題の解決を目指す
2.日機装株式会社
DUV-LEDのチップ製造から紫外線殺菌装置まで一貫生産の体制を構築
顧客ごとに異なる殺菌ニーズに総合的なノウハウで応える
DUV-LEDの海外展開拡大に向けて台湾に生産拠点を開設へ
耐食性などに優れる水産業向けDUV-LED浄化装置を2017年8月に開発
水処理分野を軸に国内での紫外線殺菌需要の取り込みを加速
成長のポテンシャルが大きい市場として空間殺菌のマーケティングを進める
3.三共電気株式会社
独自のソフトガラス紫外線ランプを搭載した殺菌装置をラインナップ
水殺菌や空気殺菌を中心に国内外の需要を取り込む
小回りの利く営業体制でランプ1本の試作から対応
小出力紫外線ランプの特性を活かしてコンパクトな装置をラインナップ
水殺菌分野は流量の少ない用途で存在感を発揮
メイドインジャパンのブランド力で東南アジアでの販売実績を増やす
4.DNライティング株式会社
国内市場で積み重ねてきた殺菌ランプや殺菌装置の実績を活かして
アジア市場における殺菌需要の取り込みを加速
特殊照明事業部の主導で殺菌分野の事業を推進
自社製ランプ搭載の殺菌装置を水や表面、空気の殺菌向けに提案
超純水の殺菌用途を中心に水殺菌の売上を伸ばす
食品の殺菌は海外での新規案件の受注に取り組む
5.水ing株式会社
大型水処理プラント向けを中心に紫外線殺菌装置を販売
UV-LED搭載装置について研究開発を進める
30年以上に亘り紫外線殺菌装置を扱い上下水道などの衛生管理に貢献
UV-LEDの普及を見据えてモジュール設計や光学設計のノウハウを蓄積
中圧ランプ搭載製品を主軸に大流量の殺菌用途で実績を重ねる
水処理プラントの維持管理業務の効率化に向けてICTツールの活用を促進
6.ヤンマー舶用システム株式会社
15年以上に亘るマリン事業で培ったエンジニアリングノウハウをベースに
水産分野に対して最適な衛生管理システムを提案
全国6営業部体制で製品の提案からアフターフォローまできめ細かく対応
殺菌対策の製品として紫外線殺菌装置と海水電解装置を揃える
船舶搭載用は販売実績を伸ばし、国内有数の実績を保持
東日本大震災の復興需要は一段落したが、衛生管理で装置の引き合いは堅調
7.株式会社タクミナ
流体制御やポンプのノウハウを結集した弱酸性次亜水生成装置を展開
装置の信頼性と安心感で殺菌需要を取り込む
11ヶ所の営業拠点と代理店のネットワークで全国の顧客をフォロー
ガスロック対策など安全性に優れる次亜水生成装置「サラファイン」をラインナップ
飲料・食品分野の顧客とのパイプを活かして安定的に受注を確保
電解水に対する次亜水の差別化ポイントとして大容量対応を顧客に訴求
8.森永乳業株式会社
自社の微酸性電解水生成装置運用経験を基にしたソフト提案で
飲料や食品加工分野を中心に衛生管理ニーズに応える
販売代理店のネットワークで販売からメンテナンスまでをきめ細かく対応
水道水感覚で使用できる微酸性電解水の生成装置「ピュアスター」をラインナップ
「ピュアスター」は年間販売台数1,000台超えが続き事業が持続的に成長
SDGsに対応して自社製品による衛生管理支援の取り組みを加速
9.ダイダン株式会社
気化式加湿器向けに微酸性電解水を用いた殺菌システムを開発し
空調設備の差別化製品として顧客に提案
技術研究所が主体となり独自の殺菌システム「シーパス」を2014年に上市
気化式加湿器のクリーン化で業務用空調機の微生物汚染のリスクを低減
病院のボイラーレス化の動きを踏まえてメディカル分野への営業を強化
カビ対策として文化施設から複数の案件を受注
10.トスレック株式会社
粒径が均一で高濃度のウルトラファインバブルの生成技術を確立し
生体を含む非加熱洗浄殺菌技術の普及を目指す
研究開発部が主体となりファインバブル事業を推進
選択的吸着脱離洗浄殺菌技術により耐性菌の殺菌を図る
熱や薬品に依らない効果的かつ安全な洗浄殺菌方法として
ウルトラファインバブルを提案
牡蠣のノロウイルス除去装置は2019年 ノロウイルス陽性海域での試験を計画
11.株式会社オーク製作所
医療・福祉・環境分野をターゲットにした新規事業として
2015年から殺菌装置の製造・販売に参入
諏訪工場でランプ製造から装置開発までを一貫して手掛ける
スマートエキシマランプ搭載の高効率な殺菌装置を揃える
地域密着の営業活動でメディカルやレジャー分野の需要を開拓
レンタル用品のクリーン化ニーズを取り込み販売台数を増やす
12.日揮ユニバーサル株式会社
除染装置を含む過酸化水素関連製品・サービスを揃え
顧客の過酸化水素ガス除染を総合的にサポート
2010年に除染用の過酸化水素ガス発生装置を開発し新規事業として育成
2016年に掌サイズのポータブル型除染装置を上市
GMP適合モデルの本格展開により除染装置の売上が急拡大
自社除染装置を用いた除染サービスで顧客層を広げる
13.株式会社神戸製鋼所
50年以上に亘る高圧装置の製造・販売ノウハウを基盤に
食品向けの超高圧処理装置をグローバルに展開
高砂製作所の試験設備を整えユーザーの高圧処理活用を支援
生産性向上に貢献する横置き型の大容量装置をラインナップ
殺菌だけでなく食品加工や脱殻の用途で採用事例が増加
海外ではコールドプレスジュースの需要増加に伴い装置への引き合いが活発に
14.株式会社東洋高圧
高圧処理の殺菌効果プラスαの効果を顧客に訴求し
高圧処理装置「まるごとエキス」の拡販に注力
産業用高圧装置のノウハウを活かして2007年に「まるごとエキス」を開発
上限圧力100MPa、400MPa、600MPaの装置をラインナップ
装置販売の牽引役は小型装置から大型装置にシフト
食品分野は牡蠣やジュースなどで新たな殺菌ニーズを見込む
15.金属技研株式会社
金属熱処理などの中核技術を用いて加速器製造を開始
マイクロトロンによる小型装置を殺菌用途で展開へ
2016年に光子発生技術研究所と連携し加速器製造に参入
0.95MeVの「MIC1」を開発
容器・包装向けの顧客開拓とともに海外のポータブル需要の取り込みを視野に入れる
継続的な製品改良により使い易さの向上を目指す
16.株式会社光子発生技術研究所
独自開発のマイクロトロン加速器を適用できる用途として
殺菌分野や産業向け非破壊検査に着目
マイクロトロンの普及に向けて金属技研と技術提携
マイクロトロンの応用製品として電子線滅菌・装置や非破壊検査装置を展開
新興国を含むグローバルな視点で電子線の殺菌ニーズを探る
国内は他の加速器を用いた殺菌設備の更新需要の取り込みを目指す
17.日立造船株式会社
食品・飲料や医薬品などの生産システム構築と加速器のノウハウを組み合わせ
電子線滅菌装置・システムの事業拡大を図る
部品調達から装置開発までを国内で行う体制を構築
滅菌装置の展開と並行してエミッタ単体の販売を推進
エミッタは世界的な飲料充填包装ラインシステムメーカーの滅菌システムに採用
メディカル分野では再生医療における滅菌ニーズの取り込みを目指す
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