世界新車販売台数の回復時期(予想)は2022年が45.4%を占める
~新車販売台数の回復時期は中国が最速で2021年、他の地域は2022年と2023年で予想が分かれる~
1.市場概況
新型コロナウイルス(COVID-19)禍における新車販売台数への影響(各国・地域別に単数回答)について、世界全体における2020年は「とても減少」45.4%、「やや減少」51.2%になり、回答者の96.6%がマイナス成長を予想している結果であった。2021年は「とても減少」が36.1ポイント下がり9.3%、「やや減少」が2.9ポイント下がり48.3%になり、「やや増加」は20.5%に上昇している。
主要国・地域別にみてみると、中国の需要回復の影響が大きく、2021年の同市場において「やや増加」と回答した比率は42.9%となり、「とても減少」「やや減少」を合わせた25.9%を上回る。引き続き2021年も厳しい市場環境が続くと予想されているのが南米、西欧、中東欧・ロシア、日本であり、「とても減少」「やや減少」の回答比率の合計は60%近くを占めている。
2.注目トピック
CASEにおける注目技術
新型コロナウイルスによって変化の起きる自動車産業分野(複数回答)についてCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)と回答した層に対し、CASEにおける注目技術(複数回答)について聞いたところ、その上位3つは、第5世代移動通信(5G)、センサー(レーダ/カメラ/LiDAR/超音波)、OTA(Over The Air;車載ソフトウェアの遠隔更新サービス)という結果であった。
5GはC-V2X(セルラーV2X)※として車両の位置情報、各種データ更新、走行情報の共有化、インフォテイメント(車載ディスプレイ機器など)での利用が期待されており、2026年以降の本格実用化に向けて実証実験が各国で進んでいる。特に中国はスマートシティとADAS/自動運転、C-V2X(セルラーV2X)の普及拡大を国家政策で推進しており、5Gの自動車への利用は日米欧よりも早く始まると予想される。センサー、OTAはADAS/自動運転の重要技術であり、センサーの性能向上とコストダウン、OTAによる車載ソフトウエア更新が求められている。OTAによる車載ソフトウエア更新は技術的ハードルが高く、通信セキュリティ、インフラ整備なども必要であるために、車両への搭載が本格的に進むのは2025年以降になると考える。
※C-V2X(セルラーV2X)とは、主に第5世代移動通信(5G)を使った車車間、路車間通信、歩車間通信をさす。
3.将来展望
新車販売台数の回復時期(予想)について、世界全体では「2022年」が45.4%を占めており、「2021年」は23.9%、「2023年」は19.0%である。主要国・地域別にみると、中国の回復時期が最も早く「2020年後半」が32.7%、「2021年」は38.0%である。米国についても「2021年」が31.7%を占めており、本調査結果から、2021年以降は米中が新車販売台数をけん引することが示唆される。
一方で、新型コロナウイルスで経済が停滞しているASEAN(東南アジア諸国連合)やインド、感染拡大が収まらない西欧、南米については「2022年」とする回答が40%前後を占める。日本についても「2022年」が41.0%、「2021年」は25.9%という結果であった。
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調査要綱
2.調査対象: 自動車メーカー、自動車関連部品メーカー、IT/通信/ソフトウェア/サービス企業等に所属する20代~70代以上の205名
3.調査方法: インターネットアンケート調査
<アフターコロナの自動車産業に関する法人アンケート調査とは>
本調査では「アフターコロナの自動車産業」について、2020年8月から9月にかけて主に自動車メーカー、自動車関連部品メーカー等に所属する20代~70代以上の205名に対して法人アンケート調査を実施し、新型コロナウイルス(COVID-19)禍における世界の主要国・地域別新車販売台数への影響や回復時期(予想)、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)の研究開発への影響、これから注目される技術、サプライチェーンへの影響などについて分析した。なお、ここでは世界の主要国・地域別新車販売台数への影響や回復時期(予想)、CASEの研究開発への影響についてその一部を公表する。
<市場に含まれる商品・サービス>
新型コロナウイルスの各国新車販売台数への影響と回復時期、これから注目される技術
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