2019年の国内専門店チェーン小売市場は前年比99.5%の82.8兆円と推計
~コロナ禍の収束は見えない状況の中で、DXやオンラインとオフライン融合の施策が進む~
1.市場概況
経済産業省の商業動態統計調査や各種団体・企業の公開資料などを参考に、ドラッグストア、ホームセンター、家電量販店、その他46業態・業種の専門店を対象として、2019年の専門店チェーンの小売市場規模を82兆7,622億円(前年比99.5%)と推計した。2019年は大手チェーン経営企業を中心に、M&Aや新規出店が進んでいるドラッグストアの伸長が目立った。
2.注目トピック
ショッピングセンターの動向
本調査では、専門店チェーンの主な出店先となるショッピングセンターやアウトレットモールの動向をまとめた。一般社団法人日本ショッピングセンター協会の調査(確報値)によれば、2020年のショッピングセンター年間売上高は24兆9,016億円、前年比77.9%の大幅減となった。これは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、年間を通じて来館者が大幅に減少したことが要因である。立地別に見ると、「中心地域・大都市」の売り上げが回復せず、一方、郊外のショッピングセンターはテレワークが浸透し、平日に近隣からの来店が増加し、来館者数を伸ばしたケースが散見された。
3.将来展望
2020年の専門店チェーンの小売市場規模は、新型コロナウイルスの影響もありマイナス幅が拡大する見通しである。4月に緊急事態宣言が発出され、営業時間の短縮や休業を余儀なくされたことで、店舗の売上高が急減した。その後も外出自粛等により来店客数が低調にとどまっている店舗が多い。また、在宅勤務の増加に伴い、都心の駅前や中心部にある店舗の来店客数が大きく減少し、売上も縮小した。
2021年に入っても、コロナ禍の収束は見えていない状況であり、専門店チェーン経営企業では、クラウド上でのリアルタイム在庫管理など、さまざまなDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の施策が広がっている。DXを新型コロナウイルス感染症対策として、位置付けている企業もある。
一方で、コロナ禍においても店舗における非計画的な購入の割合が多いとみる企業もあり、一部企業ではOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)に取り組んでいる。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
ホームセンター
家電量販店
調査要綱
2.調査対象: 専門店チェーン経営企業
3.調査方法: 当社専門研究員による各種の文献調査他
<専門店チェーン小売市場とは>
本調査における専門店チェーン小売市場は、全国のドラッグストア、ホームセンター等7業態、家電量販店やジーンズ・カジュアルショップ等39業種、合計46業態・業種の専門店チェーンを対象として、国内小売市場規模を推計した。
なお市場規模算出にあたり、経済産業省の商業動態統計調査や一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会、一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会等を出所とする、さまざまな統計データを用いている。
<市場に含まれる商品・サービス>
ドラッグストア、ホームセンター、100円ショップ、総合ディスカウントストア、リユースショップ、アウトレットモール、インターネット通販、ジーンズ・カジュアルショップ、セレクトショップ、レディスショップ、子供・ベビー服専門店、紳士服専門店、呉服専門店、書店(書籍専門店)、CD・ゲームショップ、中古ソフト専門店、ソフト複合店、楽器専門店、玩具・キャラクターショップ、手芸用品専門店、カメラ・DEP専門店、チケットショップ、カー用品専門店、中古自動車専門店、自動車・バイク専門店、各種スポーツ用品店、ペット・ペット用品店、花卉・園芸店、家電専門店、パソコン専門店、携帯電話専門店、家具専門店、生活雑貨専門店、文具専門店、宝飾品・アクセサリー専門店、眼鏡専門店、鞄専門店、靴専門店、服飾雑貨専門店、化粧品専門店、酒類専門店、生鮮食品専門店、持ち帰り弁当・惣菜専門店、宅配ピザ・寿司、食材通販・健康食品、ベーカリー・和洋菓子専門店
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