2021年度の国内シェアリングエコノミーサービス市場規模は前年度比6.5%増の1,269億円と予測
1.市場概況
シェアリングエコノミーサービス市場には、様々な事業領域のプレイヤーが多く、分野によって市場の動きに浮き沈みがあることから、特にコロナ禍において市場全体としての動きを述べることは難しいが、各分野の市場規模を合算し算出した。
コロナ禍にありながら2020年度の国内シェアリングエコノミーサービス市場規模(事業者売上高ベース)は前年度比5.3%増で堅調に推移し、1,192億円で着地した。引き続きコロナ禍にある2021年度についても、同6.5%増の1,269億円と予測する。
2.注目トピック
シェアリングエコノミーを支援する外部サービスの登場
一般的なサービスと比べるとシェアリングサービスのオペレーションは煩雑である。例えばモノのシェアリングサービスは、売り切り型のサービスと異なり、回収やメンテナンスが必要である。さらに短期間で複数人が利用することから摩耗率も一般的に所有されるモノに比べると高くなり、こまめなサービスの管理が必要となる。
このほか、個人間で提供されるスキルシェアサービスは、顔が見えない相手とのやりとりが発生するものが多く、サービスのプラットフォームに安心・安全の仕組みづくりを求められるだけでなく、常にトラブル防止のためのサービス上でのパトロール活動や、もしものときの迅速な対応が求められる。
このように、煩雑なオペレーションが必要なシェアリングサービスであるが、多くの事業者がベンチャー企業であり、シェアリングエコノミーサービス市場の成長とともにユーザー数が増加していくと、現在のままの自社リソースだけではオペレーションやサポートの対応が追い付かなくなる可能性が出てくる。実際に直近のコロナ禍で利用者が大幅に増加し、オペレーションが追い付かず新規ユーザーの募集を制限したサービスもみられている。
近年ではシェアリングエコノミーサービスを支援するサービスが登場しており、例として、本人認証等のバックオフィス業務を代行するサービスを提供するイー・ガーディアン株式会社、シェアリングサービス向けの保険サービスを提供する三井住友海上火災保険株式会社、シェアリングサービス向けのラウンドメンテナンスサービスを提供する株式会社エイジスなどがある。今後市場の拡大とともに、これらのサービスを活用するシェアリングエコノミーサービス事業者が増えてくるものと思われる。
3.将来展望
2021年度は前年度に引き続きコロナ禍にある。提供するサービスの事業領域によってその影響は異なるが、人々は外出しづらくなり、在宅での時間が増えていることから、自宅で利用できるシェアリングサービスや、オンライン上で提供されるものについては今後コロナ禍が続いても好調にサービスが成長すると考えられる。
特にシェアリングサービスのほとんどはオンライン上のサービスプラットフォームでやり取りをすることから、どこにいても利用できるサービスであり、その利便性はコロナ禍において他のECサービスと同様、大きな強みである。
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調査要綱
2.調査対象: シェアリングエコノミーサービス提供事業者、シェアリングエコノミーサービス関連事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<シェアリングエコノミーサービス市場とは>
本調査におけるシェアリングエコノミーサービス市場とは、国内の「乗り物(カーシェア・ライドシェア)」、「乗り物(シェアサイクル)」、「スペース(民泊)」、「スペース(駐車場、その他)」、「モノ」、「ヒト(スキルシェア)」、「カネ(クラウドファンディング、ソーシャルレンディング)」のシェアリングエコノミーサービスを対象とする。なお、音楽・映像のような著作物は対象外とする。
当該市場規模は、サービス提供事業者のマッチング手数料や販売手数料、月会費、その他サービス収入などのサービス提供事業者売上高ベースでの市場であり、シェアリングエコノミー事業者の取扱高(流通額)ではない。
<市場に含まれる商品・サービス>
「乗り物(自動車、自転車)」、「スペース」、「モノ」、「ヒト(スキルシェア)」、「カネ(クラウドファンディング、ソーシャルレンディング)」
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