2022年度のカルチャーセンター市場は前年度比21.3%増の330億円まで回復する見込み
~オンライン講座の拡充で、これまで場所の制約から受講出来なかった顧客層を取り込むことが可能に~
1.市場概況
カルチャーセンターは、新聞社が文化事業として教養講座を開設したのがそのビジネスモデルの始まりと言われており、新聞社や放送局などのマスメディア系列企業や百貨店をはじめとする流通小売事業者、大手私鉄などの運輸・鉄道系事業者の参入などもあり、市場形成された。その後、受講者層の高齢化・新規開拓の不振や、英会話・フィットネスクラブ等の専門スクールや大学など公的機関が開講する教養講座などとの競合が激しくなり、市場は縮小傾向にある。
近年はインターネットの普及により無料視聴可能なコンテンツも増加しており、更にダウントレンドで推移してきたが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発出などで、店舗の全面休業や営業時間を短縮したテナントオーナーも多く、カルチャーセンターもその影響を受けて休業を余儀なくされた事業者が多かった。また、人との接触を伴う講座や声を出す講座などを中心に休講する講座も多かった。これらの結果、2020年度のカルチャーセンター市場(事業者売上高ベース)は前年度比60.6%の226億円と大幅減となった。
2021年度に入り、カルチャーセンター事業者各社はオンライン講座の拡充に努め、これまで場所の制約から受講出来なかった層も取り込むことが出来るようになったこと、また、密を回避しマスク着用による対面講座が再開されたことなどから、市場は回復基調にある。2021年度のカルチャーセンター市場は前年度比120.4%の272億円と推計し、2022年度は同121.3%の330億円まで回復するものと見込まれる。
2.注目トピック
教室×オンラインのハイブリッド型で市場拡大を図る
カルチャーセンターの主要な顧客層はシニア層が多く、教室に通い講座を受講することが基本であった。しかし、コロナ禍の行動制限で通学することが困難な状況に陥り、自宅でも受講できるように、オンライン講座が増えている。
一方、オンライン講座であれば、近くに教室がなくても受講することが出来るため、新たな顧客層を取り込むことも可能になった。日本全国どこからでも参加可能な学びの場として、カルチャーセンターが認知されることで、カルチャーセンター市場拡大につながることが期待できる。
3.将来展望
2023年度のカルチャーセンター市場規模は、前年度比109.1%の360億円になると予測する。コロナ禍による行動制限の可能性は薄れており、教室への回帰に期待が持てるとともに、充実してきたオンライン講座の受講者増も市場拡大に寄与する見込みである。今後の市場では、教室とオンラインを交えた、カルチャーセンターならではの特色のある講座が求められるようになってくるものと考える。
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調査要綱
2.調査対象: 主要カルチャーセンター事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<カルチャーセンター市場とは>
本調査におけるカルチャーセンター市場とは、マスメディア系列や流通系、運輸・鉄道系などの民間事業者によるカルチャーセンターを対象とし、事業者売上高ベースで算出した。なお、カルチャーセンター事業者が開設している講座でも、資格・技能取得系の教育ビジネス(英会話スクール、各種資格取得スクールなど)は対象外としている。
<市場に含まれる商品・サービス>
カルチャーセンター
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