2022年のベビー・こども服小売市場規模は前年比101.0%の8,200億円と予測
~コロナ禍の落ち着きから2021年比で回復の兆しも、少子化傾向の流れの中、市場は依然として厳しい状況が続く~
1.市場概況
2021年の国内のベビー・こども服小売市場規模(小売金額ベース)は、前年比103.1%の8,118億円と推計した。同市場は、ここ数年はほぼ横ばいで推移しながらも微増、微減を繰り返してきたが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大幅な減少となった。2021年は、前年の大幅縮小からの反動増もあり回復となったものの、2019年の水準には戻っていない。
国内の出生数減少の中でも同市場規模が大幅に縮小していない背景には、こどもにかけるお金が増えているほか、ベビー・こども服関連専門のチェーン店やカジュアル衣料品店がある程度好調であったことが挙げられる。
2.注目トピック
物価上昇による各社の取り組み
2022年は、社会情勢の影響、円安・物価高騰などから様々な商品で値上げが進んだ。2023年以降もその傾向が続いており、家計に大きなダメージを与えている。食料品以外にも公共料金の値上げ、ガソリン代値上げといった生活インフラに関わる料金高騰が続き、消費者の衣料品に対する購入意欲、購買機会にも少なからず影響を与えていることは確かである。
その中で、ベビー・こども服市場の各関連企業は、この物価上昇による事業の取り組みや対策などについて、価格の維持、改定、見直しなどを進めている。定番品の在庫見直し、新商品の発売時期、価格調整などについては原価上昇分を踏まえながら取り組んでいるケースも見られた。プライベートブランド(PB)展開の強化やコスト削減にさらに注力するといった動きもあり、価格上昇を少しでも食い止めようとしている。また、商品ごとでのセール、まとめ売りなど販売方法を適宜変更したり、商品価値を下げないような工夫を施したりと、各社は様々な対策を行っている。
3.将来展望
2022年の国内のベビー・こども服の小売市場規模は、前年比101.0%の8,200億円となり微増を予測する。
コロナ禍が徐々に落ち着いてきたことが回復の一因ではあるが、社会情勢や燃料高騰、物価上昇などに伴う生活インフラへの負荷と立て直しによる影響から、前年からの伸びは期待できない。また、依然として国内で少子化の傾向が続いている点を踏まえると、市場がコロナ禍以前の水準に戻っていくことは未だ厳しく、現状は微増で推移すると予測する。
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調査要綱
2.調査対象: ベビー・こども服市場に参入している小売業、卸売業、製造業、その他関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接取材、及び郵送アンケート調査、文献調査併用
<ベビー・こども服小売市場とは>
本調査におけるベビー・こども服とは、ベビー、こども用に考案・製造された衣料品(洋服・洋品)を指し、「ベビー(0~1歳程度、サイズ50~80cm)」「トドラー・キッズ(2~6歳程度・園児、サイズ80~120cm)」「スクール・ジュニア(7~14歳程度・児童、サイズ120~160cm)」のサイズを対象とした。なお、企業によってサイズ分類の仕方は異なるが、概ね上記を目安としており、衣料品以外の雑貨類は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
ベビー・こども服(洋服・洋品)
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