2050年の空飛ぶクルマ世界市場規模は180兆円を超える市場へと成長を予測
~2025年前後で世界的に事業が開始される予定、機体や関連設備が本格的な検討・設置段階へ~
1.市場概況
米国Uberが空のライドシェアサービス「Uber Air」の事業構想を発表し、同時に世界中で空の移動に向けて積極的な空飛ぶクルマ関連の開発が開始されている。世界的に2025年前後で事業開始予定とされており、これから約2年で本格的な機体の開発、バーティポート(Vertiport:専用離着陸場)といった周辺設備の設置検討、整備、調整が進められていく見込みである。
本調査では、欧州と北米、中国、日本、その他地域・国それぞれで起こり得る内容を加味して、2025年の空飛ぶクルマ世界市場規模(メーカー販売金額ベース)を608億円になると予測する。事業開始から2030年頃までは、事業の定着と拡大に向けて、機体導入や飛行ルート等のインフラ整備が急激に進んでいき、世界中で加速的な成長が続くと想定している。
2.注目トピック
日本含めた世界中でチームが組まれ、バーティポートの開発が加速する
日本国内でも、空飛ぶクルマの事業化に向けて機体開発と同時に、空飛ぶクルマ専用の離着陸場となるバーティポートの設置検討が並行して行われている。機体やそれ以外のシステム管理等と同様に、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催時にはバーティポートも実装に向けた段階調整やシステム含めた確実な設置が必須とされている。
国内ではマイルストーンとなる万博での実装に向けた動きがみられるが、海外でも同様に機体開発、バーティポート設置展開が活発になっている。海外では以前から小型航空機の個人使用実績があることから、日本と比較して航空機市場が大きい国々では、空飛ぶクルマの事業化に合わせて操縦士の雇用やインフラ関連の整備が進んでおり、空飛ぶクルマへの社会受容性も高いレベルにある。日本では、海外の航空機市場のような土台作りから始めていく必要があるが、空飛ぶクルマ市場を確立させるためには世界中の国や企業がそれぞれの状況を把握し、切磋琢磨していくことが必要となる。
3.将来展望
新しい交通手段、モビリティとして、様々な移動の課題点を解決できると言われている空飛ぶクルマは、世界中で開発、参入の動きがみられている。以前は、単なる近未来の乗り物という位置付けだったが、例えば日本国内では自治体が抱える少子高齢化や生産年齢人口減少など様々な課題を解決できる移動手段となるよう事業化準備が進められている。
空飛ぶクルマの事業化の課題とされる「社会受容性」「機体開発」「地上インフラや管制システム」「法規制」が整備されていくことで、2035年頃には社会受容性や各国の経済発展も後押しした成長が期待され、2040年代には更に機体導入や新飛行ルート、バーティポートの設置が進められることで引き続き安定した市場拡大を見込む。安定期と考えられる2050年頃には、空飛ぶクルマ世界市場規模は180兆円を超える市場へ成長を予測する。空を見上げると「未来の乗り物」と言われていた空飛ぶクルマが当たり前に飛行し、空に「空飛ぶクルマがいない」という今の風景が考えられないほど世界中で発展がみられる見通しである。
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空飛ぶクルマ2種類の販売価格推移
事業化の一大イベントが迫る中、具体的な運航企業や活発な制度調整が続々と決定
調査要綱
2.調査対象: 国内外の空飛ぶクルマメーカー、関連メーカー、業界団体、自治体他
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<空飛ぶクルマとは>
空飛ぶクルマとは、一般的に「電動かつ自動で垂直に離着陸する移動手段」を指し、確立された定義はない。海外ではeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft:電動垂直離着陸機)やUAM(Urban Air Mobility)と呼ばれており、世界各国で新たなモビリティとして機体開発等の取り組みが進められている。
eVTOLには、空中に浮遊し人が操縦する航空機に分類されるマルチコプター(回転翼機)や固定翼機といった種類が存在する。また、無人の遠隔操作や自動制御によって飛行が可能なドローンに人を搭載可能にしたものや、EV(電気自動車)ベースにプロペラや自動制御システムを備えた機体を指す場合もある。
<空飛ぶクルマ市場とは>
本調査における空飛ぶクルマ市場とは、eVTOLと同様に「電動」「自動飛行」「垂直離着陸」が可能な機体を対象とし、メーカー販売金額ベースで算出した。但し、現在は操縦士が搭乗した機体開発が主に進められており、今後開発が進むことを見越し、そうした機体も含める。
<市場に含まれる商品・サービス>
空飛ぶクルマ機体のみ
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