プレスリリース
No.3612
2024/09/03
ECサイト構築支援サービス市場に関する調査を実施(2024年)

2023年度の国内ECサイト構築支援サービス市場規模は前年度比6.5%増の2,134億円と推計
​~ECサイト構築支援サービスでは、ECサイト内での商品説明文の自動作成や接客、運用サポートに加え、消費者への商品レコメンド機能など様々なAIソリューションが開発、提供へ~ 

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のECサイト構築支援サービス市場を調査し、市場概況、ECサイトの提供方法別の市場、AI技術の活用、サービス提供事業者各社の動向を明らかにした。

ECサイト構築支援サービス市場規模推移と予測
ECサイト構築支援サービス市場規模推移と予測

1.市場概況

2020~2021年度はコロナ禍の行動制限などの影響で、流通小売業者や食品メーカーなど主に実店舗(オフライン)で事業を行っていた事業者では、EC事業への新規参入や既存のEC事業への投資拡大、事業強化(DX化)が急速に進んだ。そのため、ECサイト構築支援サービスへの需要は大幅に拡大し、ECサイト構築支援サービス提供事業者の業績は高い伸び率で成長した。
2022年度以降は行動制限も緩和され、消費者の実店舗への回帰の動きが見られるが、オンラインでの購入スタイルも定着しており、ECの需要は引き続き成長している。2023年度はEC事業への新規参入も落ち着き、市場の成長率は低下したものの、事業規模が拡大したEC事業者による上位サービスへのリプレイス需要が増加している。
このようなことから、2023年度のECサイト構築支援サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比106.5%の2,134億円と推計した。

2.注目トピック

AI×ECサイト構築支援サービス市場

ECサイト構築支援サービスの主要事業者のほとんどがAIを活用し、様々な研究開発を行っていると見られる。自社開発のAIサービスを提供したり、パートナー企業と連携してAI関連機能を顧客企業(EC事業者)に提供する事業者が増えている。また、自社内の業務効率化を図るためにも、AIの活用が進んでいると考えられる。

顧客向けサービスとして、AIが最も活用されている分野は、まず第一に商品説明文の自動生成(掲載文の生成、SNSへの自動投稿、SEO対策など)である。顧客企業では人材が不足している中、このようなツールを活用することで、ITリテラシーが低い人でも簡単に商品説明文を作成でき、業務負担が軽減される。さらに、AIが顧客企業のブランドイメージやスタイルを学習することで、ブランド独自のクリエイティブの提案・作成も可能になる。
二つ目は、AIチャットボットによる接客およびECサイト運用サポート機能である。消費者からの問い合わせ対応は、顧客企業がECサイトを運営する上での大きな課題となっている。AIチャットボットを活用することで、消費者対応を自動化し、業務効率を向上させることができる。また、ECサイト運用において、各EC事業者毎にパーソナライズされたFAQとその回答をAIが推奨する機能も提供されている。具体的には、送料の設定や在庫の追跡など、あらゆる業務に対して迅速なサポートと具体的な指示を受けることができる。他には、各EC事業者のビジネス展開において最適な判断を支援するレポートを即座に作成するサービスなどもある。
三つ目は、AIによる高精度な商品レコメンド機能である。顧客(消費者)の属性やECサイト内での行動履歴に基づいてパーソナライズされた商品を推奨し、コンバージョン率を向上させるサービスが提供されている。

その他にも、セキュリティ関連ではAIを活用したクレジットカードの不正利用の検知や、商品情報処理(収集・項目設定・加工)の自動化サービス、生成AIによる対話型コマース(AIとの対話を通じて希望の商品を検索・注文)や、説得力のある件名や魅力的なコンテンツで消費者向けメール文を瞬時に生成し配信するサービス、さらに、需要予測により在庫管理を最適化するサービスなど、様々なAIソリューションが提供、あるいは研究開発されている。

3.将来展望

日本のEC化率は海外に比べてまだ低い水準であるため、EC市場への新規参入の増加によりEC市場規模が拡大する余地は十分にあると考える。それにより、ECサイト構築支援サービスの需要も拡大していくと予測する。
EC市場ではBtoB領域における市場拡大や、新しいブランドを立ち上げて新規参入する事業者がECチャネルを活用する可能性もあり、ECサイト構築需要は今後も拡大していく見通しである。また、BtoC領域では既存ECサイトのリニューアル需要が増加する見込みで、国内のECサイト構築支援サービス市場は、2023年度から2027年度までのCAGR(年平均成長率)が4.9%で推移し、2027年度には2,579億円まで拡大すると予測する。

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Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  SaaS型とパッケージ型の特性を兼ね備えた、ECサイト構築支援サービスの登場
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  •  BtoB領域におけるEC需要の増加
     オムニチャネルの需要増加と主要事業者の取り組み
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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年5月~7月
    2.調査対象: ECサイト構築支援サービス提供事業者等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、ならびに文献調査併用

    <ECサイト構築支援サービス市場とは>

    ECサイト構築支援サービスは、 EC(Electronic Commerce)サイトの事業計画からシステム企画、設計、開発、運用などまでEC事業に関わる一連のサービスである。
    本調査におけるECサイト構築支援サービス市場とは、パッケージ型、SaaS型、フルスクラッチ型のサービスを対象として、サービス提供事業者の売上高ベースで算出した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    パッケージ型サービス、SaaS型サービス、フルスクラッチ型サービス

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年07月31日
    体裁
    A4 225ページ
    価格(税込)
    220,000円 (本体価格 200,000円)

    お問い合わせ先

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    マーケティング本部 広報チーム
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