プレスリリース
No.3625
2024/10/29
国内加工食品市場に関する調査を実施(2024年)

価格改定を主な背景に、2023年度の国内加工食品市場は拡大
~近年の成長要因は健康志向、備蓄用途、内食化~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の加工食品市場を調査し、現況、各分野(カテゴリー)別や品目別の動向、将来展望を明らかにした。

国内加工食品市場規模推移・予測
国内加工食品市場規模推移・予測
直近6年間(2018年度~2023年度)における15分野(カテゴリー)別の市場動向分布図
直近6年間(2018年度~2023年度)における15分野(カテゴリー)別の市場動向分布図

1.市場概況

2023年度の加工食品の市場規模は、前年度比102.7%の31 兆1,416億円(メーカー出荷金額ベース)を見込む。物価の高騰により、加工食品においても多くの品目で価格改定が行われたことが市場規模の拡大に繋がっている。しかしながら、金額ベースの市場規模は拡大したが、概して数量ベースでは減少している品目も多くあるとみられる。

コロナ禍では行動制限により、人流が抑制されたことで外食向け加工食品や土産物菓子が影響を受けた。また在宅勤務が進みオフィスワーカーの行動にも変化が生じたことで、コンビニエンスストアにおいて販売される加工食品は不調であった。2023年には行動制限が求められなくなったことから、コロナ禍で影響を受けた加工食品は全般的に回復に向かった。

また、コロナ禍では自宅で食事をする機会が増えたことから内食需要が増加したが、物価高や健康志向の高まりを受け、2023年度以降もこうした傾向は一定程度定着するものとみる。昨今の自然災害を受けて食品に対する備蓄といった需要も継続している。

2.注目トピック

カテゴリー別の市場動向

本調査における加工食品の15分野(カテゴリー)について、2018年度から2023年度(見込値)までの年平均成長率(CAGR)と、各15分野の2023年度の市場規模(見込値)との関係性から、直近6年間の分野別市場動向を分布図にまとめた。多くの分野で市場が拡大していることがわかるが、最大の要因は昨今の物価高が商品の価格に反映されていることである。また、コロナ禍により市場が拡大した個別品目に関しては、その後も一定程度の需要を維持している品目が散見され、それらの品目を含む分野が伸長している。

​なかでも、インスタント・レトルト食品はその傾向が顕著である。コロナ禍や物価高から内食志向が進み、また時間を掛けずに簡便に調理することができることから、好調な品目が多い。また大地震や豪雨、台風などの自然災害に備えて、備蓄用食品として購入する消費者も多いと推察される。特に好調なのはオートミールである。市場規模は小規模ではあるものの、近年の内食化、健康志向、備蓄用途といった需要を満たす食品として大幅に拡大している。

3.将来展望

2028年度の加工食品の市場規模は33兆3,000億円(メーカー出荷金額ベース)を予測する。

一部で植物原料を中心に天候不順などの影響による調達難を要因としたコスト上昇や、為替の変動、特に円安進行による輸入原材料の価格上昇など、不安定な原材料コストが今後も続くことが想定されるものの、2022年度から2023年度にかけて見られたような多くの品目における値上げは徐々に落ち着きつつある。また、物価高による消費者の節約志向が強まり、大手食品メーカー企業のナショナルブランドと比較して、割安な⼩売企業のPB(プライベートブランド)に需要が流れるなどの動きが見られる一方、生活必需品を中心に、値上がり価格を許容せざるを得ない風潮が定着しつつある。こうしたなか、物価高騰による販売価格の改定の動きは徐々に落ち着くとみられることから、市場拡大のスピードも緩やかになると考える。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  近年の加工食品の成長品目と成長要因 <健康>
     近年の加工食品の成長品目と成長要因 <内食化>
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2024年5月~8月
    2.調査対象: 有力な食品メーカー企業
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、アンケート調査、ならびに文献調査併用

    <加工食品市場とは>

    本調査における加工食品とは、酒類や飲料、乳製品、食肉加工品、水産加工品、農産加工品、パン・麺類、小麦粉類・粉製品、調味料類、油脂加工品、砂糖・甘味料類、冷凍食品、インスタント・レトルト食品他、菓子類、健康食品の15分野(カテゴリー)188品目を対象とした。
    なお、加工食品市場規模は、市販(家庭)用加工食品を中心として一部業務用途を含み、上記15分野(カテゴリー)に加えて一部その他食品を含め、メーカー出荷金額ベースで算出した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    酒類、飲料、乳製品、食肉加工品、水産加工品、農産加工品、パン・麺類、小麦粉類・粉製品、調味料類、油脂加工品、砂糖・甘味料類、冷凍食品、インスタント・レトルト食品他、菓子類、健康食品、その他食品

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年08月28日
    体裁
    A4 508ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2024 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。