プレスリリース
No.3642
2024/11/08
外食市場に関する調査を実施(2024年)

2023年度の外食市場規模は31兆2,411億円とプラス成長
~コロナ禍前を上回る水準にまで回復~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の外食産業の調査を行い、業態別の市況、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

国内外食市場規模推移と予測
国内外食市場規模推移と予測

1.市場概況

2023年度の国内外食市場規模(持ち帰り弁当・総菜専門店等の中食業態を含む)は、末端売上高ベース(消費者支払金額ベース)で前年度比6.5%増の31兆2,411億円と推計した。2023年は、コロナ禍における行動制限が求められなくなり、社会経済活動が回復に向かった。年間を通して外食需要の回復基調が継続したことで、市場規模はコロナ禍前を上回る水準にまで回復した。

​業態別にみると、コロナ禍でも好調だったファストフードは、コロナ禍後もテイクアウトとデリバリーの定着などで好調を維持している。ファミリーレストランはコロナ禍で不採算店舗の整理を進めたとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などにより、客席設置のタブレット端末やスマートフォンを用いたセルフオーダー・会計システム、配膳ロボットの導入による省人化など、業務効率化を図ったことで店舗内での生産性が向上している。すし、うどん・そば店、中華レストラン・ラーメン店、カフェなどの専門性の高い業態についても回復している。一方で、居酒屋、パブ、ビアレストランは、宴会需要も戻りつつあり回復基調にあるものの、コロナ禍で店舗数自体が減少していることから、コロナ禍前の水準には達していない状況にある。

2.注目トピック

人件費や原材料費など様々なコストが上昇、参入企業各社はコスト削減策だけでは吸収できず、価格改定に踏み切る

近年、原材料費や人件費、物流費などが上昇しており、参入企業各社は対応を迫られている。食材の変更や物流の見直しなどによるコスト削減に取り組んでいるが、それだけでは従来価格の維持が難しく、価格改定をせざるを得ない状況になっている。

2021年後半より数々の外食チェーンが値上げに踏み切っているが、物価高騰が続くなかでコストを充分に吸収しきれず、年に1~2回のペースで定期的に実施している企業も少なくない。一方で、値上げによる客離れを抑制すべく、単に商品価格の値上げを行うのではなく、品質の向上や改善にも取り組むことで、消費者の納得を得られる商品価格と品質のバランスをとるように努めている。

​そのほか、賃料や人件費の違いを踏まえて地域ごとに商品価格が異なる地域別価格制度を導入したり、人件費が日中よりもかさむ深夜営業のコストを補填するために深夜料金の導入を進める動きもある。

3.将来展望

2024年度の外食市場は、コロナ禍から社会経済活動が復調したことから、2023年度と比較しても来店客数が増加することが見込まれる。また、価格改定などの施策により客単価が上昇することが想定されることから、国内外食市場規模(持ち帰り弁当・総菜専門店等の中食業態を含む)は末端売上高ベース(消費者支払金額ベース)で、前年度比2.9%増の32 兆1,423 億円を予測する。

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Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  洋風ファストフード(ハンバーガー店、他)
     和風ファストフード(牛丼店、他)
     ファミリーレストラン
     すし、回転すし、宅配すし
     居酒屋、パブ、ビアレストラン
     ディナーレストラン
     中華レストラン、ラーメン店
     うどん・そば店
     カフェ
     焼肉店
     その他の専門業態・食堂など
     持ち帰り弁当・総菜店
  • 注目トピックの追加情報
  •  慢性化する人手不足と人件費の高騰、時給アップは不可避に
     不採算店舗の整理により、残った”優良店舗“で利益率アップ
     DX の推進により省人化・高付加価値化を実現し、生産性を向上
  • 将来展望の追加情報

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年6月~8月
    2.調査対象: 外食関連企業(主要チェーン、有力企業)
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電子メールによるヒアリングならびに文献調査併用

    <外食市場とは>

    本調査における外食市場とは、洋風ファストフード、和風​ファストフード、ファミリーレストラン、すし、回転すし、宅配すし、居酒屋、パブ、ビアレストラン、ディナーレストラン、中華レストラン・ラーメン店、うどん・そば店、カフェ、焼肉店、その他の専門業態・食堂等、持ち帰り弁当・総菜店を対象とする。


    店内飲食もしくはテイクアウト(持ち帰り)主体で専門店舗を展開する業態のみに限っており、学校や病院、事業所などの給食、ホテルや旅館などの宿泊施設に付随する飲食などは含めていない。
    また、ナイト市場(主として夜間営業する業態)のうち、居酒屋・パブ・ビアレストランや料亭など、飲食がある程度見込める業態は含むが、スナック・キャバレー・ナイトクラブなど、大半がアルコール飲料提供の業態のほか、風俗営業などの業態は除外している。百貨店やスーパーマーケットの店舗内での販売分も併せ、持ち帰り弁当や総菜専門店等の中食業態を含む。但し、食品スーパーや量販店(GMS)、コンビニエンスストア等の店頭でセルフ販売している弁当や総菜は対象外としている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    洋風・和風ファストフード、ファミリーレストラン、すし・回転すし・宅配すし、居酒屋・パブ・ビアレストラン、ディナーレストラン、中華レストラン・ラーメン店、うどん・そば店、カフェ、焼肉店、その他専門業態・食堂等、持ち帰り弁当・総菜専門店など

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年08月29日
    体裁
    A4 914ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

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