2023年度の自然派・オーガニック化粧品市場は前年度比103.9%の1,779億円と推計
~自然派・オーガニック化粧品への認知や理解が進む、ブランド直営店舗を持つ企業の業績は堅調に推移~
1.市場概況
2023年度の自然派・オーガニック化粧品市場は、ブランドメーカー出荷金額ベースで前年度比103.9%の1,779億円と推計した。
伸長の要因として、SDGsやサステナブルといった環境保全を意識した行動やライフスタイルへの関心の高まりから、引き続き自然派・オーガニック化粧品への認知や理解が進んだことが挙げられる。また、アフターコロナへの転換による人流の回復で実店舗が活況になったことが挙げられ、ブランド直営店舗を持つ企業の業績は堅調に推移しており、同市場の成長を支えている。
近年では、自然派・オーガニック化粧品メーカーによるナチュラルブランドの投入も活発に行われている。また、欧米で注目されているクリーンビューティーという切り口からの新ブランドやラインナップ拡充がみられ、自然派・オーガニック化粧品の注目度やポテンシャルの高さが伺える。
ドラッグストアのプライベートブランドからも自然派化粧品が複数展開されており、自然派・オーガニック化粧品の認知や理解を進めていると考える。
2.注目トピック
正しい知識の啓蒙とライト層の獲得
国内における自然派・オーガニック化粧品市場はポテンシャルこそ高いものの、2023年度の化粧品市場2兆4,780億円※のうち1割にも満たない構成比率であり、小さなマーケットと言える。また、海外と比較すると、日本の自然派・オーガニック化粧品市場の成長スピードは緩やかであるとの見方もある。
その要因としては、環境への負荷を低減する行動の意識など思想的な部分が進んでいないことが考えられる。そのような中でも、自然派・オーガニック化粧品市場の認知や理解は進み、市場成長がみられるが、海外発祥のブランドが多い自然派・オーガニック化粧品の知識は正確には伝わっていないのが現状である。そのため、参入メーカー各社は商品のプロモーションの他にも、自然派・オーガニック化粧品に関する正しい知識の啓蒙という点も意識した情報発信が重要となる。
また、自然派・オーガニック化粧品市場は小さなマーケットという点では、『限られた人の化粧品』となっている。特にオーガニック化粧品では、その傾向は顕著である。今後の市場成長には、自然派・オーガニック化粧品の購入や利用経験の少ないライト層の取り込みが重要であり、正しい知識の啓蒙も含め、ライト層の取り込みに向けた施策を講じていく必要があると考える。
※「化粧品市場に関する調査を実施(2024年)」(2024年9月18日発表)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3627
3.将来展望
自然派・オーガニック化粧品における2024年度の市場規模は、前年度比104.9%の1,867億円と予測する。
自然派・オーガニック化粧品市場は、コロナ禍の2020年度にあっても、前年度比100.8%で微増という力強さを示した。社会におけるサステナブルやウェルビーイングへの関心の高まりは、自然派・オーガニック化粧品市場には追い風となっている。そのトレンド感は、2024年度においても化粧品市場以外における企業の動きや製品・サービスの動向からもまだまだ重視される傾向が強いと言える。そのような社会的背景に加えて、自然派・オーガニック化粧品に関する正しい知識への理解も進むことで、市場は今後も緩やかに成長を続けていくと考える。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
オーガニック化粧品市場
調査要綱
2.調査対象: 自然派オーガニック化粧品メーカー、販売代理店、小売店、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、eメールによる調査、ならびに文献調査併用
<自然派化粧品・オーガニック化粧品とは>
本調査における自然派化粧品とは、①天然植物原料を主成分としている、②化学合成成分の配合を抑制している、の2つともあてはまる化粧品をさす。
本調査におけるオーガニック化粧品とは、①第三者機関のオーガニック認証を取得している、②使用原料の大部分を自社及び提携農園のオーガニック素材を使用している、③ブランドラインアップの大部分にオーガニック素材を用いている、のいずれかがあてはまる化粧品をさす。
<市場に含まれる商品・サービス>
自然派・オーガニック化粧品のスキンケア製品、ボディケア製品、ヘアケア製品、メイクアップ製品、その他
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