2025年度の福祉用具レンタル市場を3,921億円と予測
~介護保険制度改定の影響を受けるものの、介護保険サービス受給者数増加を背景に市場は堅調に推移する見込み~
1.市場概況
国内の福祉用具レンタル市場は安定的に推移するものの、市場は介護保険制度がベースとなっているため、財源縮小を背景とした抑制策が打ち出され、厳しい状況に置かれている。公益社団法人国民健康保険中央会の資料によると、2017年度の福祉用具貸与(レンタル)の市場規模は前年度比105.6%の3,222億円となった。市場は堅調な推移を示しており、2018年度の福祉用具レンタル市場規模を3,348億円と予測する。
2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定において、財務省からは要介護2までの軽度者を地方自治体の地域支援事業へ移管、自己負担を原則ということが提言された。結果的には、福祉用具貸与には上限価格が設定され、貸与価格の引き下げ策が実行された。市場では冬場も重なり、マイナス成長になった面はあるものの、新たなレンタル需要などでカバーしていく見込みである。
2.注目トピック
福祉用具レンタル卸事業者の動向
福祉用具レンタル卸業は、豊富な品揃えで福祉用具のレンタル在庫を保有し、レンタル事業者の要望に応えて商品を供給するというスタイルである。介護保険を機にレンタル制度がスタートし、貸与事業者の支援という形で、在庫の供給および返却された在庫の洗浄・消毒を行う事業形態が確立した。これが福祉用具レンタル卸である。
福祉用具レンタル卸業を営む企業は、電動三輪車やリフトといった特殊な製品をレンタルする企業や大手レンタル企業で一部レンタル卸事業も行っている事業者も含めると、全国で40~50社程度は存在するとみられる。
3.将来展望
介護報酬の2021年度次回改定において、軽度の要介護者に対して、介護保険費用の削減策がどこまでの範囲で実施されるかが、福祉用具レンタル市場の今後に大きな影響を及ぼす見込みである。
福祉用具レンタル事業者としては、他社との差別化となる「サービス」の違いを如何に打ち出すか、人材不足は業界にも及んでおり、長年勤務しているベテラン社員の確保も課題である。10年後を見据えた福祉用具レンタル品アイテム(品揃え)と在庫管理などのノウハウ構築が求められる。また、地域の実情に応じたサービスが求められることから、地方自治体の取組みにどう関わっていくか他、後継者のいない事業者や経営規模の小さな事業者については、M&Aも検討されることになろう。
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調査要綱
2.調査対象: 福祉用具レンタル事業者、福祉用具レンタル卸事業者、福祉用具・介護用品メーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<福祉用具レンタルとは>
福祉用具レンタルとは、在宅用介護ベッドやエアマット・体圧分散マット、車いす、歩行器・歩行車などの福祉用具を、介護保険制度下で介護保険サービス受給者に対して貸与(レンタル)する事業を指す。
また、本調査において、貸与(レンタル)事業者に対して福祉用具をレンタルする卸事業者や福祉用具・介護用品メーカーも対象とするとともに、シャワーベンチやポータブルトイレなどの特定福祉用具を介護保険制度下でサービス受給者に対して販売する市場についても調査を実施した。
<市場に含まれる商品・サービス>
福祉用具レンタル事業、福祉用具レンタル卸事業、特定福祉用具販売市場
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