東京オリンピック・パラリンピックの開催以後、自らの力で収入を得られないマイナー競技は縮小の可能性が高まる
~独自の施策で価値向上を図る、中央団体とスポーツ競技~
1.調査結果概要
本調査で、国内の56種のスポーツ競技を統括する中央団体の決算状況について調査したところ、サッカーや相撲、ラグビー、野球など、一般的に人気が高いと言われるスポーツの中央団体ほど経常収益の規模が大きい傾向が見られる。放映権収入や協賛金等、自前で稼ぐ力の強さが収益の大きさにつながっている。
一方で、マイナーなスポーツを統括する規模の小さな中央団体ほどその力が弱く、国からの補助金に頼らざるを得ない傾向にある。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催により、世間のスポーツ競技に対する注目度は高まっているが、五輪開催以降は補助金の額は縮小されていく見込みで、自らの力で収入を得られない競技の中央団体は縮小の一途を辿ると考えられる。
今後、国からの補助金に頼って運営されてきたスポーツ競技及び中央団体としては、事業収益の比率を高めるなど収益構造の変革を求められることになると考える。
2.注目トピック
ボールパーク化の推進により観戦スポーツとしての野球人気高まる
国内で長年にわたり人気スポーツの代表格となってきたスポーツが野球である。一時期、サッカーのJリーグ開幕などにより人気低迷が指摘されてきたが、一般社団法人日本野球機構によると、2017年のプロ野球公式戦入場者数は史上初めて2,500万人(セ・リーグ1,402万人、パ・リーグ1,112万人)を突破した。2018年は、それをさらに上回り過去最高を更新するなど各球団の観客動員数が好調に推移、観戦スポーツとしての人気が再び高まっている。
その背景には、「ボールパーク化」への取り組みがある。ボールパーク化とは、野球場を単に野球を見るだけの場所とするのではなく、飲食店を充実させたり、イベントを開催したりして、家族連れや野球の知識の少ない人などファンでなくても楽しめる場所にするというものである。既にアメリカのメジャーリーグでは一般的であるが、国内においても広島や横浜などがそうした取り組みを推進し、観客動員数を増やしてきた。その他の球団もボールパーク化に向けた独自の動きを推進するようになっており、こうした動きが今後さらに進むものと見られる。
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注目のマイナースポーツ②(クリケット)
調査要綱
2.調査対象: 各競技の中央団体
3.調査方法: 当社専門研究員による各種文献調査、ならびに直接面談調査併用
<本調査について>
本調査では、国内のチームスポーツ18競技、個人スポーツ38競技の計56競技の歴史、世界及び日本における普及状況、プロスポーツや用品などの関連スポーツビジネスの動向を調査した。
①チームスポーツ(18競技)
アイスホッケー、アメリカンフットボール、駅伝、カーリング、クリケット、サッカー、水球、ストリートバスケットボール(3×3)、セパタクロー、ソフトボール、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、フットサル、ホッケー、ラグビー、ラクロス、野球
②個人スポーツ(38競技)
アーチェリー、ウェイトリフティング、空手道、カヌー、カーレース、弓道、競泳、剣道、ゴルフ、サイクルレース(ロード)、サーフィン、柔道、新体操、スカッシュ、スキー、スケートボード、スノーボード、スピードスケート、スポーツクライミング、相撲、セーリング、体操、卓球、テコンドー、テニス、トランポリン、パークゴルフ、バドミントン、BMX、フィギュアスケート、フェンシング、プロボクシング、ボート、ボブスレー・スケルトン・リュージュ、マウンテンバイク、マラソン、陸上、レスリング
<市場に含まれる商品・サービス>
プロスポーツ、アマチュアスポーツ、関連スポーツビジネス、競技用用品ビジネス
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