2019年の国内オーダメイド医療関連市場規模は8,789億6,000万円と推計
~市場は分子標的薬の広がりを背景に伸張傾向、ゲノム医療が本格化~
1.市場概況
近年、患者それぞれの遺伝的な違いなどを考慮に入れ、個人に最適な治療計画を実施するオーダーメイド医療が注目されている。本調査では、患者毎に医薬品の効果や副作用を判別するコンパニオン診断に関する診断薬や臨床検査受託サービス、診断後に投与される分子標的薬に加え、DNAチップおよび次世代DNAシーケンサの5領域を対象としている。
オーダーメイド医療関連市場の2019年の国内市場規模は8,789億6,000万円と推計した。分子標的薬の広がりを背景に伸長傾向で推移しており、医薬品や診断薬の開発も活発化している。さらに次世代DNAシーケンサを用いたクリニカルシーケンスが本格化している。
2.注目トピック
複数のがん関連の遺伝子変異などを同時に検査するマルチプレックス検査が本格化
コンパニオン診断は、基本的に1つの遺伝子変異に対して1の診断薬を用いる “1 対1” 対応となっている。近年、複数項目を検査する診断薬の開発、上市など新たな動きがみられる。国内では、2015年に大腸がんに対するKRAS およびNRAS遺伝子変異を検出する試薬を販売している。さらに非小細胞肺がんに関連する4種類のドライバー遺伝子の変異を一度に判定可能なマルチプレックスコンパニオン診断システムが2019年より保険収載されている。
また、がんゲノム医療を国策として推進されるなか、がん遺伝子パネル検査の開発も進められており、次世代DNAシーケンサを用いたクリニカルシーケンスの社会実装に向けた動きも活発化している。日本ではの2種類のがん遺伝子パネル検査が2019年に保険収載されている。次世代DNAシーケンサ を用いたクリニカルシーケンスの実用化という側面で、遺伝子関連企業やドクターから大きな期待を寄せられており、今後の動向が注目されている。
3.将来展望
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一部の医療機関では外来診療を停止するなど医療機関の検査需要の縮小がみられ、市場伸長は鈍化が見込まれ、2020年の国内オーダーメイド医療関連の市場規模は8,886億7,000万円(前年比1.1%増)と予測する。
オーダーメイド医療関連市場は、分子標的薬と診断薬が牽引する形で、今後も市場が拡大する見通しであり、2023年の同市場規模は9,748億6,000万円になると予測する。
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調査要綱
2.調査対象: 検査・診断機器メーカー、製薬企業、その他関連企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、ならびに間接調査併用
<オーダーメイド医療関連市場とは>
本調査におけるオーダーメイド医療関連市場とは、患者毎に医薬品の効果や副作用を判別するコンパニオン診断に関連する診断薬(薬価ベース)や臨床検査受託サービス(事業者売上高ベース)、診断後投薬される分子標的薬(薬価ベース)、コンパニオン診断領域にて利用されるDNAチップや将来的に臨床領域での利用が拡大することが予測されている次世代DNAシーケンサ(NGS:Next Generation Sequencer)(メーカー出荷金額ベース)を対象とした。
<市場に含まれる商品・サービス>
分子標的薬、コンパニオン診断に関連する診断薬、コンパニオン診断に関連する臨床検査受託サービス、DNAチップ、次世代DNAシーケンサ
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