2021年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は前年度比7.1%増の3兆8,944億円に
~コロナ禍におけるマイナス影響を受けつつも、各種人材サービス需要の活性化により拡大成長を見込む~
1.市場概況
2021年度の業種・職種別人材ビジネスの市場規模(5市場計)は、事業者売上高ベースで前年度比7.1%増の3兆8,944億円となった。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年度の業種・職種別人材ビジネス(5市場)市場は縮小したものの、2021年度は大きなマイナス影響は見られず、取引先業界・企業における事業活動の本格稼働からくる労働力・人手不足や人材確保難を背景に、人材需要は再び拡大を見せ、各人材サービスは回復、或いはコロナ禍前を凌ぐほどの拡大基調となり、プラス推移に転じている。
2.注目トピック
建設業界向け人材サービス市場
2013年以降、東日本大震災の復旧・復興工事需要や、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた建設需要の拡大に伴い、施工管理者をはじめとする建設業界向けの人材派遣需要も拡大することとなり、当該市場は拡大基調であったが、2020年に入ると、東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要が一段落したことや、復旧・復興工事需要の落ち着き、さらには新型コロナウイルス感染症拡大の影響による建設現場の作業中断・休止などの影響によって、当該派遣需要も停滞することとなり、2020年度はマイナス推移に転じることとなった。
2021年度においても建設需要の停滞の影響を受け、当該市場は伸び悩みとなったが、2022年度以降は、都市部における再開発や各地でのインフラ整備などの建設需要の活性化に加え、働き方改革(労働時間の適正化)による人員(派遣スタッフ)の増加要請などによって、当該市場は再び拡大基調になるとみられる。
※建設業界向け人材サービス市場は、大手ゼネコンや建設・プラント工事請負事業者に対する、建築、土木、電気工事、管工事、造園、建設機械、電気通信工事等の施工管理者の派遣、各種図面の作成・修正作業等を担うCADオペレーター等の派遣、各現場などで発生する書類作成・整理・管理等を行う事務員の派遣などを対象とする(一部、人材紹介も含む)。
3.将来展望
2022年度は、コロナ禍が継続しているものの、2021年度に続き、各市場とも回復・拡大での推移が見込まれる。業種・職種別人材ビジネス市場規模(5市場計)は、前年度比5.0%増の4兆907億円を見込む。一方で、産業界は依然としてコロナ禍での制約を受けており、事業停滞・存続の危機に瀕する企業もある。今後もその状況が続けば、人材需要へのマイナス影響が生じる可能性がある。
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調査要綱
2.調査対象: 人材サービス提供事業者(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービス)等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<業種・職種別人材ビジネス市場とは>
本調査における業種・職種別人材ビジネス市場とは、技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス(医療系資格保有者を紹介する人材紹介サービス)、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービスの8市場を対象とする。このうち5市場(技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス市場、介護人材サービス)を合算して、業種・職種別の人材ビジネス市場として市場規模を算出している。尚、建設業界向け人材サービスの市場規模は算出しているが合算はしていない。また、農業支援人材サービスおよび物流施設向け人材サービスの2市場の市場規模の算出は行っていない。
<市場に含まれる商品・サービス>
技術者派遣サービス、営業・販売支援人材サービス、製造派遣・請負サービス、医療人材サービス、介護人材サービス、建設業界向け人材サービス、農業支援人材サービス、物流施設向け人材サービス
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