若年層を中心とした人材確保難、採用業務の煩雑化により採用アウトソーシングの活用機運は高水準で推移。サービス需要の裾野も拡大
1.市場概況
2021年度の採用アウトソーシング(RPO; Recruitment Process Outsourcing)市場規模(3市場計)は、前年度比15.0%増の628億円となった。本調査では、採用アウトソーシング、採用管理システム、採用関連アセスメントの主要3市場を対象としており、一部重複している市場規模もあるため参考値とはなるが、2021年度はリモート対応などの事業体制が整ったことで経済活動が再開、コロナ禍によるマイナス影響から脱却するかたちで採用活動も急速に回復したことから、すべての市場において前年度実績を大幅に上回る結果となった。
2.注目トピック
人材確保難に合わせ採用業務の外注化機運が高まる方向
労働環境を巡っては、就労人口が減少トレンド下にあり、若年層や優秀な人材の確保が年々厳しくなっている。また、同時並行して、採用プロセスも煩雑になっており、採用に要する時間・負担も増していることから、採用業務を外注化する機運が高まる方向にある。
各社が長年蓄積してきた独自の採用ノウハウに関しても、人材確保難が続く中では、採用を成功させる手段として通用しない事態も生じるようになっており、従来であれば自社で行っていた、採用の根幹となる「採用計画の立案」や「ほしい人材の要件定義」などまでを専門事業者へ外部委託する動きが進んでいる。また、こうした動きに合わせて、人材採用を経営上のテーマとして重要視し、経営戦略の一つとして積極的に投資をする企業も増えており、採用ノウハウを持つ専門事業者の活用機運は高まる方向にある。
このような環境下において、顧客の採用課題に合ったサービス提供――採用業務を最適化し、課題解決につなげるRPOソリューション――に対する需要は堅調に拡大しており、採用アウトソーシング市場の拡大をけん引する成長ドライバーとして大いに期待されている。
3.将来展望
採用アウトソーシング市場では、総数が減少している新卒採用領域が頭打ちになっていく一方で、終身雇用からの脱却が進む中途採用領域においては転職機会の増加に合わせてサービスの提供機会が拡大しており、市場開拓余地が十分に残されている状況にある。特に、自らのキャリアを主体的に形成する「キャリア自律」に基づいた転職機運の高まりや、成長事業への人材の流動化を促す国の施策の影響等により、サービス需要が順調に拡大していることから、2022年度の採用アウトソーシング市場規模(3市場計)は前年度比12.4%増の706億円と予測する。
3市場の内訳をみると、採用アウトソーシング(RPO+MSP)市場が前年度比13.3%増、採用管理システム市場が同20.8%増、採用関連アセスメント市場が同6.2%増と、2022年度はすべてにおいてプラス成長を確保すると予測する。
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調査要綱
2.調査対象: 中途採用を対象とした採用関連業務アウトソーシング関連事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による取材、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<採用アウトソーシングとは>
採用アウトソーシング(RPO; Recruitment Process Outsourcing)ビジネスとは、企業の採用プロセスに関わる各種のオペレーション業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)のほか、事業成長の側面から採用計画を戦略的に策定するコンサルティングサービス、教育・研修サービス、その他関連サービス等と定義している。また、新卒や中途などの正社員採用に対応したRPOビジネスに加え、パート・アルバイトの採用や、派遣人材や請負人材などといった外部人材調達に対応したMSP(Managed Service Program)ビジネスも当該市場に含めている。
<採用アウトソーシング市場とは>
本調査における採用アウトソーシング市場とは、採用アウトソーシング(RPO+MSP)、採用管理システム、採用関連アセスメントの主要3市場を合算し、事業者売上高ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
採用アウトソーシング(RPO+MSP)、採用管理システム、採用関連アセスメント
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