医療・介護分野での課題に対するヘルステックの貢献・市場性等を分析
~2030年度への10年間に大幅伸長の個別市場も~
1.調査結果概要
本調査で対象とするヘルステック製品・サービスは様々であるが、その多くは2015年以降に開発の本格化や上市が始まっている。具体的にみると、ロボットは比較的早く製品上市が見られる一方、SaMD(プログラム医療機器)領域は2014年の医薬品医療機器等法の施行に伴い制度化されたものであり、最初の製品の上市は比較的遅い。また、オンライン診療・服薬指導や遠隔ICU、介護ロボットなど、コロナ禍により注目度が高まったセグメントも多い。こうした中、2020年度から2030年度にかけて、見守り機器のような市場は介護業界の人材不足を背景に高い規模で推移し、DTx(デジタルセラピューティクス)等の市場は急速な成長を示すものとみられる。
2.注目トピック
高まるRWD・医療ビッグデータへの注目度
近年では、医療ビッグデータあるいはRWD(Real World Data)への注目度が高まっている。RWDとは、日常の臨床等から生じるデータであり、臨床試験等によるデータと対になる概念とされる。具体的なデータとしては、①レセプトや健診情報といった保険者由来データ、②DPC(診断群分類包括評価)や電子カルテといった病院・診療所由来データ、③調剤レセプトといった調剤薬局由来データ、④ライフログデータ(スマートフォンやウェアラブル端末などを用いて個人により記録されたデータ)等が挙げられる。
医療機関で発生するレセプト等のデータは、主に国(厚生労働大臣)により保有され、研究用途で用いられている。2018年には、個人情報保護法の特別法にあたる次世代医療基盤法が施行され、匿名加工された医療情報の研究開発での活用を促進する仕組みが作られた。
一方、医療ビッグデータの民間での利活用(例:製薬企業のマーケティングや生命保険企業の商品開発)のためのサービスもある。その中には、子会社あるいは(資本)業務提携先企業との協業も含めて事業を行っている企業もみられる。このような民間サービスは、データ提供のスピード感などで、公的データベースと比した優位性がある。また、自社PHR(パーソナルヘルスレコード)サービス等によりライフログの収集が進めば、この点での優位性も高まると推測される。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】BCパターン
医療・介護等におけるRobot活用
DTx、診断支援AIは大幅な市場拡大を予測
調査要綱
2.調査対象: 医療・介護(主にヘルステック)業界参入企業・団体
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談調査(オンライン含む)及び文献調査併用
<医療産業(注目ヘルステック)とは>
本調査では、2030年の医療産業において注目される「ヘルステック(HealthTech)」を対象としている。ヘルステックとは、「Health」と「Technology」を組み合わせた造語である。
本調査では、「Health」については健康・医療を中心に介護も対象とし、「Technology」としては特にTelehealth(遠隔医療)、mHealth(モバイルヘルス)、Robot(特に手術ロボット、見守り機器)、AI(人工知能)、XR(VR等)に着目した。
本資料で取り上げるヘルステックは、診断支援AIやDTx(デジタルセラピューティクス)のようなソフトウェア・システム製品及び遠隔健康医療相談サービスのようなヘルステックを活用したサービスによって構成される。
<市場に含まれる商品・サービス>
遠隔医療(オンライン診療システム、オンライン服薬指導・医薬品配送)、モバイルヘルス(DTx(デジタルセラピューティクス)、医療機関へのPHR(パーソナルヘルスレコード)共有サービス、電子問診システム(Web問診等))、ロボット(手術支援ロボット、見守り機器)、人工知能(診断支援AI、診療支援AI)、XR(医療XR)
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