国内のオーガニック食品市場は、2018年度から2022年度までのCAGR3.1%で成長
~コロナ禍をきっかけとした健康志向の高まり・食生活の見直しが寄与、「みどりの食料システム戦略」の推進も追い風に市場は拡大の見通し~
1.市場概況
国内のオーガニック食品市場は、2018年度から2022年度までのCAGR(年平均成長率)が3.1%で成長し、2022年度市場規模(小売金額ベース)を前年度比2.3%増の1,531億4,200万円と推計した。
コロナ禍以前、東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えてオーガニックスーパーや自然食品店の店舗数が増加していたことで、市場は6%程度の伸び率で推移していたことを鑑みると伸び率は鈍化しているものの、毎年2%程度の伸長率で堅調に市場が拡大している。2020年度はコロナ禍で世界的に物流が混乱し、コンテナが不足し、輸入品が計画通り調達できない等の影響が出た。年度の後半は持ち直したが、その影響から市場規模も前年度並みにとどまった。
2021年度はコロナ禍の継続で家庭内での食事機会が多い状態が続いた。このことによって、巣ごもり需要を取り込んだだけではなく、自らの食生活を見直すきっかけとなり、合成添加物の少ない自然派食品を選んだり、オーガニック食品を選んだりするきっかけとなったことが、オーガニック食品市場にプラスの影響を与えた。
2022年度に入り、巣ごもり特需は沈静化したものの、オーガニック食品や自然派食品を生活に取り入れるようになった消費行動の一部がそのまま定着したとみられる。また、為替変動や食料価格の高騰を受けて、オーガニック食品においても価格改定が進んでおり、これによる出荷金額の上昇がオーガニック食品市場規模の拡大に貢献したと推察する。
2.注目トピック
「みどりの食料システム戦略」推進の追い風により、有機栽培転換が拡大
農林水産省による「みどりの食料システム戦略」が注目を集めていることで、農業領域における有機転換が徐々に広がっている。
従来慣行農業に取り組んでいた畑が有機栽培に転換するためには、3年間の転換期間が必要であることから、これから徐々に有機JAS認証を取得した農産物の流通量が増加していく見通しである。政府が「みどりの食料システム戦略」を推進していることで、生産者においても “有機栽培で何かを作ろう” という機運が高まっており、これに連動して加工食品分野でもオーガニック食品の商品開発が活発化しつつある。
3.将来展望
2023年度のオーガニック食品市場は前年度比3.6%増の1,586億8,100万円と、今後も2~3%の伸長率で拡大していくと予測する。前年度に価格改定を実施したことで、販売数量への影響が散見されたが、価格改定が浸透しつつあり、徐々に販売も上向いてくる見込みである。また、2022年10月から有機加工食品のJAS規格の対象に有機酒類が追加されたことで、2023年度から有機酒類の展開を本格化する動きが小売業でみられており、そのこともオーガニック食品市場にプラス影響を与える見通しである。
これまでのオーガニック食品市場を牽引してきた輸入食品は、円安によって価格メリットを訴求しにくくなっているが、国産のオーガニック食品との価格差が縮小している。今後のオーガニック食品市場では、より価格が手頃な輸入品と国産のオーガニック食品に需要が二極化していく見込みである。
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調査要綱
2.調査対象: オーガニック・自然派食品関連市場に参入する企業のほか、需要家としてオーガニック食品を取り扱う小売業者やオーガニック食品を利用する中食・外食業者、オーガニック戦略を推進する地方自治体(市町村)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、電話による調査、ならびにアンケート調査併用
<オーガニック食品とは>
オーガニック食品とは、農林水産省の有機JAS認証またはそれと同等の諸外国のオーガニック認証を取得した食品とする。
<オーガニック食品市場とは>
本調査におけるオーガニック食品市場は、酒類、飲料、畜産加工品、農産加工品、麺類、調味料類、冷凍食品、その他加工食品(レトルトパウチ食品、菓子・デザート類、シリアル、サプリメントなど)等の加工食品を対象とし、市場規模を小売金額ベースで算出した。農産物や畜産物は含まない。
<オーガニックフレンドリー食品とは>
本調査におけるオーガニックフレンドリー食品とは、最終製品として有機JAS認証等を取得していないが、オーガニック原材料を使用した加工食品をオーガニックフレンドリー食品と定義した。
<市場に含まれる商品・サービス>
オーガニック・自然派食品
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