獣医療における需要(犬猫数)と供給(獣医療の提供)のアンバランスさを背景に事業環境は更に厳しく
1.調査結果概要
全国的なトレンドとして犬猫の飼育頭数は減少傾向にあるといわれているが、今回アンケート調査においては診療現場の実感としてもやはり厳しい状況にあることが伺われた。犬猫の診療頭数の増減傾向をみると、足下では犬が減少、猫が増減相半ばという中、ここ数年においてそうした傾向がもう一歩進行してきたかに推察される。
図は、犬猫の最近の診療数の増減傾向を、都市部(東京都及び政令指定都市)とその他地域の地域区分別にまとめたものである(図の縦軸は傾向を回答した施設の割合を表している)。今回調査からは、総じて横ばいが多い中、犬の場合は地域区分を問わず減少が増加を上回っており、猫については東京都と政令指定都市において増加と減少が拮抗する一方で、その他地域では減少が増加を上回っていることがわかった。
2.注目トピック
臨床現場におけるサービス系の利用度
動物医療においても、検体検査や遠隔診断、医療保険などの様々な外部サービスが利用されている。既に多くの施設で利用が常態化しているサービスもあれば普及途上のものもあることが、今回調査において改めて確認された。
検体検査については、犬猫について何らかの検査を外部委託するのが通例となっている動物病院がほぼ全て(98%)となっている。
また、医療保険(いわゆるペット保険)についても、利用がないとする施設は全体の約3%に過ぎず、利用可能な保険の種類や適応疾患など条件を問わなければ、おおむねいずれの動物病院においても利用可能であることが伺われる。
遠隔診断(リアルタイム超音波遠隔診断)については、利用施設は1%未満に留まるものと推定され、現時点においては今後の普及が期待される段階にあると思われる。
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調査要綱
2.調査対象: 犬猫(ペット)を中心に診療を行う全国の動物病院
3.調査方法: 調査対象施設へのアンケート調査(郵送留置法)
<本アンケート調査について>
本調査ではペット・動物病院の運営状況及び動物用医薬品や医療機器、検体検査受託等の関連製品・サービスの利用状況やニーズ並びに取引先企業に対する評価についてペット・動物病院を対象にアンケート調査を行った。
<市場に含まれる商品・サービス>
獣医療サービスおよびそれに関わる動物用医薬品、医療機器、療法食、画像診断受託・検体検査受託・医療保険サービス等
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